研究課題/領域番号 |
25463516
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
内藤 茂幸 北里大学, 看護学部, 助教 (20406961)
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研究分担者 |
大塚 香 北里大学, 大学病院, 小児専門看護師 (30349865)
岡崎 章 拓殖大学, 工学部, 教授 (40244975)
小島 ひで子 北里大学, 看護学部, 教授 (50433719)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 小児看護 / プレパレーション / ウェブサイト |
研究実績の概要 |
本研究では,【ウェブサイトを活用した効果的なツール蓄積・提供システムの検討・作製】を目的の一つに掲げている.サイトの作製にあたっては,プレパレーションを実践する上での困難な要因を把握し,それに対する解決に貢献できることが重要であると考え,プレパレーションの実践を困難にしている要因を,質的・帰納的手法を用いた文献検討によって明らかにした. 分析対象となった文献より,プレパレーションを困難にしている要因について具体的に記載された内容を抜き出し,それらをコード化し,類似性・関連性に基づきサブカテゴリー・カテゴリーを生成した.その結果,[実施時間が確保できない],[不十分なチームワーク],[プレパレーションツール不足],[診療報酬に反映されない],[乏しい実践力],[必要性の軽視],[子どもを捉える難しさ]の7つをプレパレーションを困難にしている要因として得た. この中で,[プレパレーションツール不足]および,[乏しい実践力]については,本研究でサイトを作製することよって解決に向けることが可能であり,サイトに組み込むことが必要不可欠な内容であると考えた.さらに,昨年度までに明らかにした,『視覚ツールが持つ構成要素』と『視覚ツールを用いた実践の構成要素』を,ツールの作製やプレパレーション実践のガイドラインとしてサイト上に提示することで,より効果的なウェブサイトの構築に繋がっていくことが期待された. また,実際にサイトを作製するにあたっては,サイトの印象や操作感を左右するサイトデザインや,インタフェースの構成などを適切に設定することが重要である.そのため,専門領域の豊富な知見を踏まえ検討を実施する必要があるが,それらを看護領域の人材で対応することは困難である.感性デザインやウェブサイトの豊富な知識を持つ専門家に作製を依頼でき,意見交換を実施できたことは有意義であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の計画は,【ウェブサイトを活用した効果的なツール蓄積・提供システムの検討・作製】としており,利用者がウェブ上でのツール蓄積・提供に求める内容を分析し,サイトの構成要素に反映させることであった.当初の計画では,サイトの利用者として予想される,小児看護領域の複数機関の看護師に対して半構成面接を実施し,サイト上でのツールの蓄積(アップロード)に関すること,提供(ダウンロード)に関することの意見を把握し,分析をおこなう予定であった.しかし,プレパレーションを実践する上での困難な要因に対し,解決に向けられるような要素を含んだウェブサイトであることが実益の面で有意義であると考え,当初の計画から変更し,プレパレーションの実践を困難にしている要因を,質的・帰納的手法を用いた文献検討によって明らかにした. また,実際のウェブサイトの作製においては、予定通り感性デザインおよび,ウェブサイトの豊富な知識を持つ専門家への依頼ができ,意見交換も実施できた.平成28年度前期のウェブサイト稼働に向け,鋭意推進中である. 以上のことより,進捗状況としては,概ね順調に進んでいると考える.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,作製したウェブサイトを公開し,視覚ツールの提供(ダウンロード)および,蓄積(アップロード)を開始する.サイトの稼働が軌道に乗るためには,いくつかの課題があると思われるが,大きなものとして,サイトの認知度や,信頼感を獲得していくことである.関連学会などでの周知をおこなうことや,利用者のニーズに対応できるサイトのシステムを検討し,確立していきたい. ウェブサイトの評価にあたっては,サイトアクセス数を指標とした評価や,サイト利用者へのアンケートを量的に分析する評価方法も選択肢の一つであるが,高度な実践力を持つ,小児専門看護師や,チャイルドライフスペシャリストなどに実際にサイトを利用してもらい,インタビューを実施し,質的な評価の実施なども考慮に入れ,より良いサイトの構築を目指していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
ウェブサイト作製費用および,プレパレーションツール作製費用として約70万円の謝金の支払いを予定していたが,作業が完了していないため平成27年度中の支払いが発生しなかった. また,購入予定であった,A3サイズ対応スキャナーについては,より安価で使用方法が容易な機種があったため,計上金額と比べ支出を抑えることができた.同じく,当初予算を計上していた3Dスキャナーと3Dフォーマットで撮影可能なデジタルカメラについては,必要性を再検討し,購入を見送っている.
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に支払予定であったウェブサイト作製費用および,プレパレーションツール作製費用として平成28年度は約70万円の謝金を支払予定である. また,ウェブサイト稼働後は,サイトから提供されるコンテンツをタブレット型コンピューターを使用して臨床看護師に使用してもらう予定である.提供するコンピューターを増やすことで患者への提供の機会も増し,サイトへの評価のフィードバックも得やすくなると考えるため,その費用として使用する.
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