研究課題/領域番号 |
25463519
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
近藤 好枝 慶應義塾大学, 看護学部, 教授 (90234955)
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研究分担者 |
安田 恵美子 慶應義塾大学, 看護学部, 准教授 (10249055)
高岡 智子 慶應義塾大学, 看護学部, 助教 (80644947) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 看護 / 臨床 / 超早産児 / 未熟児網膜症 / 広画角デジタル眼底カメラ / 疼痛評価 |
研究実績の概要 |
眼底所見を画像として客観的に記録できる広画角デジタル眼底カメラRetCam(TM)が、未熟児網膜症の診察に用いられているが、従来の双眼倒像鏡とは異なり、児に対して強い痛みとストレスを与えることが指摘されている。本研究は、RetCam(TM)による診察が、超早産児にどのような影響を与えるかを生理学的指標ならびにPremature Infant Pain Profile(PIPP)により明らかにすることである。 対象は、都内周産期センター新生児科NICUに入院する修正34~35週の超早産児4名であり、眼科診察のプロトコールにもとづき、安静時、RetCam(TM)診察中、診察後30分の3時点で5分間ずつ、生体情報モニター(Philips IntelliVue MP5T)により心拍数とSpO2を、デジタルビデオカメラ(Sony HDR)で表情を、連続的に記録した。 実施に先立ち、慶應義塾大学看護医療学部研究倫理審査委員会ならびに東京都立墨東病院倫理委員会の承認を得た。対象は意思決定能力に関して脆弱性を有するため、児の意思及び利益を代弁できる父母から自由意思に基づき同意を得た。 RetCam(TM)による診察は約30秒間実施された。開瞼器が装着され、カメラが眼球に接触すると、HRは170~180bpmとbeselineに比べ8~20%上昇した。一方、SpO2はbaselineより6~30下降した。診察中のPIPPスコアは8~16点であり、2名がsevere painと判断され鎮痛剤の投与を考慮すべき状態であった。終了後30分の睡眠覚醒状態は4名ともにQuiet sleepを呈し、刺激に対する反応は認められず疲労困憊の状態であった。HRはbaselineに比べ低値を示した。開瞼器による眼瞼の腫脹と圧痕が著明に認められたことから、疼痛や不快感は持続する可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
都内総合周産期母子医療センターNICUにおいて、選択条件に合致する対象について予備調査を実施し、データ収集における課題の抽出と対応策を検討した。課題解決にあたっては、新生児科および眼科医師、新生児集中ケア認定看護師のアドバイスを得た。 加えて疼痛評価について評定者間の一致率を確認した。 研究協力への同意を得た4名の対象について、データ収集、結果の集計と分析および考察し、成果を公表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、未熟児網膜症およびRetCam(TM)の安全性や影響に関する最新文献のレビューをすすめるとともにデータ収集と分析を継続し、RetCam(TM)を用いた眼底検査の影響を検証する。
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