本研究「月経異常の理解とセルフケアを促進する青年期女子教育プログラムの開発」は、ライフプランを意識していく年代である青年期の女性に対し、リプロダクティブ・ヘルスの維持増進、疾患の予防・早期発見のためのセルフケア能力を育てる教育プログラムを構築することを目的とした。青年期女子が月経やその異常について何を学び理解する必要があるか、受療行動を含めどのようなセルフケアを構築すべきか、検討するため、文献検討を行った。文献は生徒・学生の主として月経やセルフケアに関する知識・意識を明らかにした調査研究が多く、月経随伴症状に対する系統的なプログラムによる介入を行い効果検証する研究はほとんどみあたらなかった。海外文献のなかには生徒にフォーカスグループインタビューを実施し、それ自体がピアサポートの効果を導いている研究があった。本研究では、まず、高等学校の養護教諭にインタビューを行い、生徒の月経異常・月経随伴症状等に対するセルフケアおよび養護教諭による支援の現状を明らかにした。月経の働きや月経異常に関する養護教諭自身の知識や意識、支援の経験も十分とは言えない現状であった。一方、青年期前期から後期への移行に伴い、リプロダクティブ・ヘルスを守るためのセルフケア行動の一環として性感染症予防・避妊のための教育も同時に必要であることが指摘され、教育方法(教授‐学習方法)を検討し、教材を作成した。これらの知見ならびに教材を用いた教育プログラムを計画し、青年期女子をリクルートして実施・評価し、次への課題を明確化する予定であったが、年度内に実施・評価には至らなかった。
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