外国人の人口流動は、東日本大震災後に一時減少したが、2005年から恒常的に200万人を超えている。しかし、日本の受け入れ体制は外国人との共生において未だ課題が多い。特に医療は生命に直結するにも関わらず問題が山積している。周産期は家族が誕生する繊細な時期であり、丁寧な関わりが求められる。しかし、外国人に対する看護者の困惑が非常に強いためにケア提供が至難となり、中途半端で不十分なケアが提供されている。それは、看護者への支援体制が整備されていないためであり、医療における外国人対応の教育は、喫緊の課題である。研究代表者は、これまでに、様々な背景を持つ対象に対応するため、外国人ケアを習得するための周産期看護者向けの教育プログラムを開発してきた。そのパイロットテストを基盤とし、本研究では、様々な背景を持つ外国人へのケアを習得するための周産期看護者向け教育プログラム「多文化共生の感受性を育む周産期看護者育成プログラム」の実施と評価を行うことを目的とした。研究方法は、第1段階:プログラムの改訂として、これまでに行ったパイロットテストの結果をもとにプログラムの精選行った。第2段階:本調査として、多文化共生の感受性を育む周産期看護者育成プログラムに35名の参加者を得て実施した。プログラムは講義と演習で構成され、演習では外国人模擬患者に参加してもらい、コミュニケーションやケアを実践的に学ぶ内容とした。評価は質問紙を使用し、プログラム当日にプログラムの前後と3か月後に調査を行った。同時期に、研修会「Healthcare cafe」も定期的に開催し、周産期看護者だけでなく、連携する医療者の多文化共生の感受性を育むためのプログラムも提供した。第3段階:多文化共生の感受性を育む周産期看護者育成プログラムとHealthcare cafeの評価の分析を行った。
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