研究課題/領域番号 |
25463527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
小川 久貴子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (70307651)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 10代妊婦 / 若年母 / 青年期妊娠 / 妊娠継続 / 育児 / 支援 / 面接調査 / ニーズ |
研究概要 |
1.申請研究は、平成25年度~28年度の4年間にかけて、10代女性の周産期を中心とした育児支援を、「当事者用WEBサイト支援システム」と「支援者養成システム」で構築する。 2.既存研究の資料分析を行い、10代で出産した女性に関する課題などを検討した。結果:(1)10代女性の家族背景の複雑さ、パートナーとの信頼維持の困難さ、10代女性の生活経験の未熟さ、育児知識・技術の獲得不足などがみられた。このような妊娠期から社会的ハイリスク状態にある10代女性に、助産師の外来からの受け持ち制や育児期まで継続した支援が必要であった。さらに、10代妊婦から低出生体重児の出生なども多いため、NICU入院後の母親役割向上を目指した助産ケアの事例報告もみられた。(2)10代で母親になった者(以下、若年母)の課題:子どもへの愛着はあるものの、自身の遊びや化粧などに関心が向き、子どもの世話は実母に任せきりの者が多いことである。また、パートナーとの不仲が生じやすく、離婚率の高さとシングルマザーの多さも問題であり、それらの支援体制に不十分な状況であった。 3.10代で出産した当事者のニーズと課題を見出すため、大都市圏でグループインタビューと、個人面接を3人に行った。そして、10代で出産した女性へ関わる臨床経験3年以上の保健師6名と助産師4名、及び支援グループ関係者などに、支援者ニーズと課題を面接で明らかにした。結果:(1)当事者のニーズは、計画外の妊娠継続についてパートナーや家族の同意を得ることが最大の関心事であり、キーパーソンから支援が得られた女性はライフイベントに柔軟に対応していた。(2)支援者側からも、(1)の点がアセスメント視点となっていることが述べられた。 4.今後の育児への支援策:当事者である10代女性特有のニーズと、支援者側の認識に部分的に乖離がみられるため、今後はそのギャップを埋める支援策が重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.既存研究の資料分析を行い、10代で出産した女性に関する課題などを文献検討し終 えた。その結果から、新たに、出産後から退院して地域で子育てをする若年母特有のニーズと支援策の不十分さなどの課題を見出すことができた。 2.支援者(助産師と保健師など)の面接は順調に行え、支援ニーズと課題を見出すことができた。 3.当事者側は、グループインタビューや個人面接は行えたが人数が少なくデータの飽和には至っていない。また、地方在住者や高校中退者などの一般的な若年母のサンプル数を増やす必要がある。次年度には、その点の追加調査が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
1.今年度の面接調査結果と共に、10代で出産した地方在住者、さらに若年母グループを統括している支援団体にも協力を得て面接調査を行い、当事者の支援ニーズと課題を探究する。 2.「1」の当事者の支援ニーズや課題と、今年度の支援者のニーズと課題をふまえて、10代で出産した女性向けの小冊子を制作する。制作過程において、当事者と支援者から助言を得て作成する。 3.「2」の制作を通じて、ユーザーニーズを把握し、平成27年度に行う、「当事者用WEBサイト支援システム」のコンテンツを作成する。また、「支援者養成システム」のための養成講座企画のプログラムと教材作成を開発する。
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次年度の研究費の使用計画 |
倫理審査決定後の6か月間で、当事者への面接調査を予定より少ない人数で大都市圏を中心にしか行えなかったことに起因する。それは、当事者である10代で出産した女性が、まだ思春期にあたり大人に警戒心をもちやすいため、インタビュー者と信頼関係を築いてから個人面接を行うには、時間的に余裕がなかったためである。 次年度は、地方在住の10代で出産した女性(当事者)や、若年母サークルを統括している支援団体にも協力を得て追加面接調査を行う予定である。
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