本研究の目的である助産師が安全な自宅出産に向けてどのような準備をしているのか明らかにするために、インタビュー調査を実施した。インタビュー調査に先立ち、研究代表者が所属する大学の研究倫理審査委員会の承認を受けた。 データ収集にあたり、研究参加者を選定した。研究参加者は公益社団法人日本助産師会の会員で、自宅出産の取り扱いをしている助産師に研究協力を依頼した。今年度は4名の助産師から研究参加の同意が得られた。 4名のうち3名は比較的近い地域で助産師として活動し、他1名は別の地域で活動をしていたため、まず活動地域が近い3名のデータの分析を行った。3名の助産師のうち2名は、安全に自宅出産をするためには、医療機関との連携が不可欠であることを明言した。3名の助産師ともに、依頼してくる妊婦がなぜ自宅で出産を希望するのか、その理由について丁寧に話を聞き、自宅で出産する必然性について検討してた。また、周産期に起こりうるリスクについては、妊婦が依頼してきた初回の面接で、妊婦が十分に理解し、納得するまで説明し、話し合っていた。助産師自身の不測の事態に備えて、近隣の助産師と連携し、必要時連絡をとっていた。本調査の結果は、日本の全出産のなかで非常に少数である自宅出産を安全に介助しようとしている助産師の様相を明らかするものであり、極少数であるが助産師の業務として今後も継続して安全に実施するための指針の基礎データとなる。調査結果の一部を、学術集会で発表し、学会参加者からの意見を求めた。
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