平成28年度は【研究1】と【研究2】をまとめ、今後のプログラムの実用化を検討した。 【研究1】直接哺乳が困難な子どもとその親への看護実践は参加者9名のデータを研究補助者1名の協力を得て質的帰納的に分析した。参加者は周産期病棟、NICU、有床診療所、地域母子保健活動等を複数経験した助産師で、就労期間は平均11年10ヶ月(幅79~306ヶ月)であった。結果、得られた474コードを段階的に分析して7つのカテゴリーへ分類・集約された。助産師は原因を多側面から捉え、妊娠期から育児期までの継続支援経験から母子にとってよりよい方法を思案し、心身疲弊・自信喪失している母親の心情に寄り添い、子どもの哺乳能力の特性や獲得の見込みや家族からの支援状況を詳細に捉え、支援を繋げようと試行錯誤していた。しかし、子どもの行動や反応の読み取り、母乳哺育を諦めた母親への対応、家族支援、継続支援に関しては困難感を抱いていた。 【研究2】は、平成28年5月~29年3月に初産婦3名とLate Pretermで出生し健康状態が良好であったその子どもの3組に対して生後2週~6ヶ月迄の期間、計4回縦断的に質的量的データを収集分析した。結果、生後2ヶ月頃まで哺乳行動は不安定であり、母親が捉える子どもの行動は生後2週~2ヶ月頃まで【興奮性】【不安定不規則】が高く、この高まりに【自信不足】も連動していた。また、母親は3名とも2ヶ月頃から腰痛・肩痛等に悩み、EPDSでは2名が2ヶ月目が最も高値であった。子どもの行動の安定、母親の自信を獲得するまでに1-2ヶ月は要しており、2ヶ月以降も母親の心身の疲弊が危惧された。 プログラムの実用化に際して、直接哺乳が困難な子どもとその親には生後1ヶ月以降も専門家からの継続支援を要しており、子どもの行動の読み取り・親子関係構築支援・母親の心理的な推移の特徴を教授・強化する必要性が見出された。
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