研究課題/領域番号 |
25463535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福山平成大学 |
研究代表者 |
津間 文子 福山平成大学, 看護学部, 講師 (30572987)
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研究分担者 |
林田 馨 (篠原 馨) 福山平成大学, 看護学部, 講師 (10379688)
橋本 和子 福山平成大学, 看護学部, 教授 (70263978)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 父親 / 育児参加 / プログラム開発 / 子育て支援 / 絵本 / 読み聞かせ / 家庭教育 / 学校教育 |
研究概要 |
父親の子育てに関する岡山県・広島県下の父親の育児参加に関する実態調査を行った。 1)父親の育児参加のニーズに関する基礎調査<半構成的面接>子どもの出産を控えた父親と母親、就学前の育児をしている父親と母親を対象とした。(父親の育児参加支援を受けている父親と母親については、平成26年度に予定している)面接ガイドに沿って半構成的面接を行い、許可を得て録音し逐語録を作成し、逐語録から父親の育児参加に対するニーズを抽出し内容分析を行った。<質問紙調査>子どもの出産を控えた父親と母親、就学前の育児をしている父親と母親を対象とした。実施前にプレテストを10名で行い、調査票を検討した。保育園・事業所等に委託して子育て中の父親と母親に対する質問紙調査を留め置き法にて1752名に実施した(有効回答率52.9%)。調査内容は父親の属性(年齢、健康状態、就労の有無、同居の家族構成)、父親のいきがいの指標として「主観的幸福感(PGCモラール17項目)」、父親の育児参加の確認のために「子ども数」「家族の人数及び同別居・親近性」。現在は、入力後のデータのチエック中であり、分析は統計ソフトSPSSver.21forWindowsを用いる予定。 2)既存の父親の育児参加を支援している専門職の調査として父親の育児参加支援を実施している看護専門職に対する半構造化面接を行った。 3)父親の育児参加に関連する国内外の文献調査として福祉・教育・看護および周辺領域における父親の育児参加に関する文献を検索し、父親の育児参加プログラム導入を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実態調査はおおむね終了している。なかでも就学前の育児をしている父親7名、母親2名のインタビューは、逐語録を作成し、分析中である。父親の年代が、20代2名、30代3名、40代1名、50代1名であったため、年代の高い父親の育児状況に特徴が大きかった。40代後半で初めて子どもを得た父親の育児参加の分析により、育児と老親介護が両立できる子育て支援の必要性が見出された。少子高齢化社会において、父親に対する支援内容は単に母親の育児負担を軽減するのみでは不十分である。また、子育て中の父親と母親に対する質問紙調査の集計からも、親になる前の育児に関与する経験が少ないことが伺えた。 父親が有する育児経験の活用と強化ができるような家庭教育と学校教育の連携を考えた社会的な支援を提案する必要が示唆された。 しかし、すでに父親・母親となっている世代に対しては、教育制度の中で教育を受ける機会がない。そこで、子育て広場などの地域の子育て支援ネットワークにおいて、父親が子育てに参加できる具体的な方法を提案する必要がある。育児に関する技術の習得ができていない男性でも実践できる育児参加を提案していくことが有効な方法であると考えた。平成25年度の調査より、「すでに育児をしている父親に対する教育」「親になる前の世代に対する教育」、すなわち家庭教育と学校教育の2方向から、父親の育児参加を促進する必要があることが示唆された。 調査の結果、以上の具体的示唆を得られたことより、現在までの達成度は概ね順調に経過しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の調査より、親になる前の教育と、すでに親になった父親に対する教育、この2方向から、父親の育児参加を促進する必要があることが示唆された。平成25年度は、質的データの分析と、量的データの分析をすすめる。データ分析には、テキストマイニングも使用し、より綿密な分析を試みる。 プログラム案として、近年の父親の家事・育児参加の規定要因が近年変容しつつあることが示唆されている(松田;2006)ことに着目した。そこで、父親の体験や思いなどを活かしたプログラムが重要である。現在、質問紙による保育園の保護者、半構造化面接によるデータ収集を父親・母親・千木職に実施した結果、子どもとかかわる育児時間は内閣府の報告より多く、父親は、何らかの育児参加を希望している傾向がみられた。詳細な分析に着手すると同時に、文献検討の結果、子育て支援の本質的な内容は「親子のコミュニケーションの回復と構築」にあるという考えに至った。そこで、親子のコミュニケーションのツールとして、「いつでも・どこでも・父親でもできる」方法として、絵本の読み聞かせによる父親の育児参加プログラムを考案した。すでに育児中の父親に対しては、研究者が勤務している大学で開催している「地域交流センター事業」の講座で育児中の親子を対象としたプログラム案を実施する。大学の広報に応募してきた親子に「絵本の読み聞かせ」講座を実施し、1年間の経過を参与観察および参加者の育児日記などのデータを蓄積していく予定である。 平成27年度は、これから父親となる世代に関して、研究者の勤務する大学の学生に小児看護学の講義で育児経験や子どもとのふれあい経験などを調査し、育児参加を促す教育方法を模索する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に収集したデータの分析にテキストマイニングのソフトを使用する予定である。ソフトの購入およびソフトの習得にかかる費用が約600000円を見込むため。また、プログラムのシュミレーションの映像を撮影するため、デジタルカメラや、DVDプレイヤーを購入する予定である。平成25年度末に予定していたテキストマイニング研修日程を平成26年度6月に変更したため、予定額の交付の時期を変更することとした。研究遂行する上で大きな問題はなく、研究目的を達成できる。 平成26年6月にテキストマイニングの研修およびソフトを購入する。その後、分析をすすめるにあたり、研修受講の予定である。地域交流センター事業においてプログラムのシュミレーションを行う際に、デジタルカメラでの撮影、録画を検討している。
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