研究実績の概要 |
本研究の目的は、妊娠中からの初産婦とそのパートナーに向けた、乳児期の子どもの泣きへの理解と対応を含めた乳幼児揺さぶられ症候群(SBS;Shaken Baby Syndrome)予防プログラムを作成することである。予防プログラムを作成するにあたっては、先行研究(Okamoto,M.2013)で実施した妊娠中からの子どもの泣きへの対応を含む子育て支援プログラムの内容を中心に、海外のSBSに関する先行研究を参考にした。 平成25年度は、予防プログラム実施で使用するDVD及び小冊子を作成した。平成26年度は、出産施設において開催する両親学級で、上記のDVD及び小冊子を実際に取り入れ、質的研究方法によりその介入効果を吟味することにした。対象は学級に参加した妊娠後期の初産婦とパートナーで本研究への調査協力に同意した5組である。子どもの泣きの特徴、泣きへの対処方法、SBSに関する知識、SBS予防に関連した対処方法、支援者としての気付きと理解状況を学級終了後に半構造化面接法にてインタビューを行った。現在、内容分析の途中であるが、両親ともに持続する泣きへの理解と対処への心がけ、SBSの背景への理解と行為に対する意識の変化、SBSによる脳へのダメージに関する具体的な知識の獲得、孤立した子育てにならないための発想の転換、父親からはパートナーへの支援者としての心構えが認められた。平成27年度の継続研究では質的研究を発展させ、上記DVDと小冊子を取り入れた両親学級での介入効果を測るため質問紙法による仮説検証を実施する。
参考文献 Okamoto,M: Early parenting program as intervention strategy for emotional distress in first-time mothers. MCHJ, Open access, 2013.
|