本研究は、精神科看護師が認知行動療法(以下、CBT)を早期に臨床に導入するための短期研修プログラムを作成し効果を検証することを目的とした。 約2ヵ月間でCBTの基礎から実践をまなぶ4日間の研修プログラム(うち後半2日間はグループスーパービジョン;以下、GSV)を作成して43名の看護師に実施し、量的・質的データを収集・分析した結果を総合して効果検討を行った。量的データは2日目と4日目に認知療法認識尺度(CTAS)、また4日目のみ認知療法尺度(CTS)の測定を行った。また質的データは2日目と4日目にグループインタビューを実施した。その結果、GSVに入る前に<知識・スキルの蓄積><安全性>に関する課題、CBT≪実践への不安≫がみられたが、4日目のGSV終了後には、GSV内での<グループの作用><スーパーバイザーの効果的な関わり>などの≪GSVの効果≫、≪CBT実践の効果≫の実感と≪CBT実践の課題≫の明確化、また≪研修への満足感≫がみられ、≪研修全体の効果≫が示唆された。総合的に本プログラムは、看護師のCBTの知識・スキルの向上に役立つこと、特にGSVが有効であることが示唆された。 また、本プログラムを精錬する上での基礎資料を得るために、国内の精神科看護師のCBTの実施と研修受講状況との関係を明らかにすることを目的に、CBT研修の受講経験のある精神科看護師141名に調査を実施した。その結果、研修終了後にCBT を実施していた看護師は70名(50%)、実施していない看護師は69名(49%)、また研修受講時間は、CBTを実施していた看護師は平均23時間(SD=14.6)、実施していない看護師は平均12時間(SD=6)で、CBT実施の有無と研修受講時間、また研修受講内容に関して有意差がみられた。 これらの結果を踏まえ、今後はプログラムを改変し、対照群を設けた効果研究を実施する予定である。
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