研究課題/領域番号 |
25463540
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
櫻井 智穂子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 准教授 (40344973)
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研究分担者 |
長江 弘子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10265770)
増島 麻里子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (40323414)
谷本 真理子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (70279834)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 慢性疾患(非がん) / 高齢者 / エンドオブライフケア / 意思決定 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、慢性疾患をもつ高齢の患者が健康状態の悪化によって意思決定が困難となった場合に備え、患者が最期に受けるケアや治療について、患者とその家族が事前に話し合い決定していくプロセスであるAdvance Care Planning(ACP)を日本において試験的に実施し、効果と実用可能性について検討することである。 平成28年度は、都心部の総合病院の外来にて、60歳以上の慢性疾患(非がん)患者を対象にACPの面接を実施し、その後にACP面接に対する感想について半構造的面接法によりデータ収集し質的に分析した。 対象は、男性8名、女性3名の計11名であり、年齢は62~81歳で平均年齢75.9歳であった。診断名は間質性肺炎、気管支喘息、高血圧等で、3年以上の治療および通院歴があった。家族構成は配偶者と2人暮らしが4名、配偶者と子や孫と暮らす者が3名、独居が3名であった。ACP面接の所要時間は14~43分で平均29.7分であった。 非がんの慢性疾患をもつ高齢患者の多くは、ACPの面接を違和感なく受けとめていたが、生命の危機を経験した患者は延命治療の希望について考え決定することに肯定的である一方、入院経験のない患者は恐怖感と自分には無関係であるという認識から最期について考えない傾向にあった。また、自分の生き方における価値観の問いへの回答に時間を要する傾向がみられた。半数以上の患者は、ACPの面接をすることが人生を振り返り将来について考える機会となると捉えていた。 ACPの面接は、予後予測の困難な慢性疾患(非がん)をもつ高齢患者の多くが必要であると受けとめ、翻訳版プロトコールの有用性も確認できた。ACPの面接は、患者の生活背景、現病歴、病期、自身の健康状態の受けとめ等、患者が現実的かつ冷静に思考し判断できる時期を見計らい、ACPに取り組みたいという意思を確認したうえで行う必要がある。
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