研究課題
本研究は、認知症本人と家族介護者、一般の方々の「認知症に関する情報不足感を解消する」こと、及び保健・医療・福祉関係者らが「認知症とともに暮らす人々の実生活を理解する」ことを目的として、2013年に公開した「認知症の語りWebサイト」の内容を充実させてきた。また、「認知症の語りWebサイト」を活用した新しい看護学教育の在り方を探究するために、学習会や検討会等を重ねてきた。2013年の公開当初は42名(認知症本人7名・家族介護者35名)の語りであったが、2016年には認知症本人の語り3名を追加して45名とした。この際、語りの多様性に留意し、アルツハイマー型・レビー小体型・脳血管性・前頭側頭型認知症の方々にインタビューを実施した。Webサイトの活用状況に対する評価は、2015年9月1日から2016年8月31日までの1年間のアクセス状況と、Webコンテンツに寄せられたコメント回数および内容を集計・分析した。その結果、477クリップページへのアクセスは75,500回であった。最もアクセスが多かったクリップページは、1日当たり6.0回で1回の閲覧平均は288.6秒であった。また、「語ってくれてありがとうボタン」のクリック回数は1,772回であり、同じ境遇にある方からの共感的コメントが寄せられた。さらに、新しい看護学教育の在り方を探究するために実施した教育ワークショップでは、認知症の夫の語りと、介護者である妻の語りを編集したビデオ映像を視聴した後、グループ討論を実施した。その結果、「認知症本人も話せるという新しいイメージにつながった」「家族の苦労や新しい生き方を模索する姿が印象的」等の意見が見いだせた。認知症と共に生きる夫婦の体験をビデオ映像で提供したことによって、学習者の関心は疾病自体よりも病む人に向いたことが推察され、今後の看護学教育法の一つとして効果が期待できると考えられた。
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ナース専科(電子版)
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日本看護研究学会雑誌
巻: 39巻4号 ページ: 97-104
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