研究課題/領域番号 |
25463544
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
正源寺 美穂 金沢大学, 保健学系, 助教 (80345636)
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研究分担者 |
榊原 千秋 金沢大学, 保健学系, 助教 (20367501)
平松 知子 金沢大学, 保健学系, 准教授 (70228815)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | コンチネンスケア / 急性期病院 / 高齢患者 / 排尿パターン / 多職種 / 夜間頻尿 |
研究概要 |
【目的】高齢患者は入院中生活機能全般が低下し、特に排泄障害の頻度が高い。おむつや膀胱留置カテーテルが多く使用されるが、十分な評価や治療を受けずに安易に使われている。そのため高齢患者には、入院時から個別の状況に応じたコンチネンスケアが必要であり、QOL向上につながると考えた。そこで本研究は、急性期病院における高齢患者の排尿パターンを考慮したコンチネンスケアプログラム開発を目的としている。 【方法】平成25年度は、急性期病院における高齢患者の排尿障害とコンチネンスケアに関するエビデンス分析、高齢患者の排尿障害とコンチネンスケアに関する国内外の文献・資料収集(整理)、専門家への確認(排尿パターンや排尿機能の測定方法、コンチネンスケアの最新知見など)を実施し、より良い方法を探った。 【結果】1)調査項目は、基本情報、生活機能評価(入院前・介入時・退院時)、入院前の排尿行動や入院中の排尿ケアに対する意向・理解度・経済的負担感などとした。2)排尿行動の自立にむけた取り組みは「安全かつ効果的な膀胱留置カテーテル抜去のためのケアプロトコール」を参考に、看護師が高齢患者に対して①排尿行動に関する初期アセスメント、②排尿自立にむけた看護計画の立案、③安全で効果的なカテーテル抜去時の看護、④排尿日誌によるモニタリング、⑤排尿自立にむけた看護介入とその評価、とした。プレテストの結果、介入の必要性が高いと判断した夜間頻尿には、睡眠状態の客観的評価を加えることとした。 【考察】看護師が入院時または術前から高齢患者に対して排尿機能をアセスメントし、夜間頻尿による転倒リスクなどを回避しながら排尿自立に取り組むことで、生活機能の維持・拡大につながると考える。また本プログラムは、循環器疾患など内科病棟、骨関節疾患など外科病棟と、専門分化された急性期病院においても有用であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的は、急性期病院における高齢患者の排尿パターンを考慮したコンチネンスケアプログラム開発である。看護師がチームを組み、残尿量を超音波膀胱画像診断装置を用いて正確に測定し、排尿機能をアセスメントする必要がある。また、排尿パターンを把握し、排尿障害を判断できる能力が不可欠である。一方、急性期病院では、緊急性や重症度の高い高齢患者が多く、専門的治療が最優先される。そのため、内科・外科など各科の専門性を考慮した上で、泌尿器科医やリハビリスタッフとの連携が重要であり、プログラムを実施する体制づくりに準備を多く要した。
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今後の研究の推進方策 |
検討したプログラムをもとに、現在、急性期病院においてデータ収集・解析を進めている。 平成26年度は、前年度予定の急性期病院における高齢患者の排尿障害とそのケアに関する実態調査を実施する。対象は、石川県下の複数の急性期病院とする。調査内容は、ケア状況(排尿障害の判定基準、排泄用具の選択基準、日中と夜間のケア変更)、排泄に関する記録方法(電子カルテやサマリーなど)、排泄ケアに関する満足度や作業負担感、排泄ケアに関する研修の必要性などを含む。実態調査から得た知見を踏まえ、当初から平成26年度に予定していたアクションリサーチを開始する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は、急性期病院における高齢患者の排尿パターンを考慮したコンチネンスケアプログラムを開発することが目的である。そのためには、超音波膀胱画像診断装置を用いた正確な残尿量測定や排尿機能のアセスメントが不可欠であり、プログラムを実施する体制づくり(看護チーム、および多職種チームなど)に準備を多く要した。 今後はコンチネンスの専門家による支援体制を取り入れ、本研究をより効率的に推進していく予定である。 平成26年度は、前年度予定の急性期病院における高齢患者の排尿障害とそのケアに関して実態調査を行い、その知見を踏まえ、アクションリサーチに取り組む予定である。そのため前年度予定した予算は、下記のように今年度支出し、データ収集・解析を進めていく。 物品費(超音波膀胱画像診断装置など)1,185,170円、旅費(学会発表、研究打合せなど)869,830円、人件費(調査に伴う謝金など)700,000円、その他(資料郵便代など)145,000円
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