研究課題/領域番号 |
25463544
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
正源寺 美穂 金沢大学, 保健学系, 助教 (80345636)
|
研究分担者 |
榊原 千秋 金沢大学, 保健学系, 研究協力員 (20367501)
平松 知子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (70228815)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 高齢患者 / 急性期病院 / 排尿自立支援 / 尿路感染症 / 尿道カテーテル留置 |
研究実績の概要 |
【目的】尿道カテーテルの長期留置は、尿路感染症や歩行能力低下につながり、高齢患者の生活機能を維持するには避ける必要がある。本研究では、急性期病院の尿道カテーテル留置管理となった高齢患者に対して、治療早期からの排尿自立支援プログラムの有効性を検証することとした。 【方法】尿道カテーテル留置管理となった65歳以上の高齢患者(介入群202名、対照群165名)に対し準実験研究を実施した。対照群には従来の排尿管理、介入群には排尿日誌と膀胱容量および残尿の測定によるモニタリングを基に排尿自立支援を行った。 【結果】介入群は対照群に比べて尿路感染症の発生率が有意に低く(5.0% vs. 10.9%, p=0.032)、尿道カテーテル留置日数が9日以上の者の割合(27.1% vs. 36.4%, p=0.059)が低い傾向を示した。ベッド上生活日数が3日以上の者の割合も有意に少なかった(42.5% vs. 53.4%, p=0.040)。しかし、転倒および褥瘡発生率、退院時の歩行能力、在院日数は介入群と対照群の間で有意な差はなかった。介入は、尿路感染症に影響する他の要因を調整した後も尿路感染症の抑制効果を認めた(調整済オッズ比0.375[95% 信頼区間0.134-0.959], p=0.040)。尿路感染症発生者は非発生者に比べて在院日数(45.0±22.5 vs. 22.1±20.8, p<0.001)が有意に長かった。 【結論】高齢患者において、排尿自立支援により尿道カテーテルの早期抜去、尿路感染症の発生抑制が可能であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定では、急性期病院において高齢患者が治療を始める急性期の早い段階から取り組む、排尿自立支援プログラムの有用性検証としたため、順調に進展したと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
開発・実施してきた排尿自立支援プログラムの有用性について、さらに各疾患ごとに下部尿路機能や排尿行動に関するADLなど生活機能の特徴をふまえるなど、精繊な解析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
急性期病院において、高齢患者が治療を始める急性期の早い段階から取り組む、排尿自立支援プログラムを開発・実施したところ、疾患の治療経過が異なったため、さらに各疾患ごとに下部尿路機能や排尿行動に関するADLなど生活機能の特徴をふまえるなど、精繊な解析を要するため。そのうえで学会での発表および論文投稿を行う必要がある。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度に引き続き排尿自立支援プログラムの有用性について、さらに精繊な解析を進めていく。必要な物品は整っているため、旅費(学会発表、研究打ち合わせなど)、人件費(外国語論文の校閲など)、その他(資料郵便代など)にて支出を予定する。
|