研究実績の概要 |
【目的】尿道カテーテルの長期留置は、高齢患者の生活機能維持には避ける必要がある。本研究では、内科、脳神経外科、整形外科疾患高齢患者に対する治療早期からの排尿自立支援プログラムの有効性を検討した。 【方法】1.対象者:急性期機能を有する一般病院(344床)において尿道カテーテル留置管理となった65歳以上の高齢患者202名。2.介入プログラム:看護師が下部尿路機能評価に基づき、安全かつ効果的な尿道カテーテルの抜去、リハビリテーションを含む早期からの排尿行動の自立支援を実施した。3.分析方法:疾患による特徴を比較するため、Pearsonのカイ二乗検定と一元配置分散分析およびTukey-Kramer HSD検定を用いた。 【結果】脳神経外科疾患は内科疾患にくらべて尿道カテーテル留置日数(14±2.2日 vs. 5.7±1.2日, p=0.003)、ベッド上生活日数(12.6±15.2日 vs. 4.2±12日, p<0.001)が長かった。また尿道カテーテル抜去後、脳神経外科疾患は整形外科・内科疾患にくらべて、再留置になった割合(17.1% vs. 6.7% vs. 5.7%, p<0.001)、下部尿路症状を有する者の割合(14.3% vs. 6.7% vs. 0.8%, p<0.001)、退院時歩行能力低下の割合(71.4% vs. 40% vs. 13.1%, p<0.001)が高かった。一方、内科疾患は脳神経外科・整形外科疾患にくらべて在院日数が短かった(17.3±1.7日 vs. 33.7±3.3日 vs. 40.2±3.6日, p<0.001)。尿路感染症、転倒、褥瘡の発生率は疾患による有意な差がなかった。 【結論】脳神経外科疾患高齢患者は、尿道カテーテルの早期離脱が困難であり、疾患の特徴をふまえた排尿自立支援の必要性が示唆された。
|