研究課題/領域番号 |
25463554
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
永田 千鶴 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50299666)
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研究分担者 |
北村 育子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70310034)
本郷 秀和 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (90405556)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 地域密着型サービス / 看取りの経験 / エイジング・イン・プレイス |
研究実績の概要 |
平成26年度は、地域密着型事業所で看取りを円滑に実践するには教育サポート体制が必要であるとの前年度の結果に基づき、研究者と事業所合同での研修計画を立て、実施した。 対象は、A市24か所の認知症対応型共同生活化以後(以下、グループホーム)および小規模多機能型居宅介護(以下、小規模多機能)のうち、参加希望があった11か所の職員18人である。研修は、2日間グループワークを中心に行った。まず、3人の経験者による看取りの経験を共有した上で、地域密着型事業所で看取りを実践する際の課題を明らかにし、解決方法を模索した。グループワークにより得られたデータを内容分析の手法により分析した。 分析の結果、看取りの経験は、『日常の延長線』『葛藤』『力量』『工夫』『地域密着型で看取る』の5つのカテゴリーで構成され、課題には「重い責任」、「困難な連携・協働体制」、「制度上の問題」、「死に対する教育不足」、「看取りへの理解不足」が挙げられた。 本研究から、地域密着型での看取りの実践は『日常の延長線』上にあり、『葛藤』をかかえながらも、『力量』を備えて、スタッフ間で『工夫』・協力して実践していることが明らかになった。当たり前のこととして看取りが実践される一方で、夜間1人での対応や、入院か事業所での自然な死か、の選択におけるスタッフにかかる「重い責任」、24時間対応が「困難な連携・協働体制」、「制度上の問題」により『葛藤』が生じていた。しかし、少ないスタッフの中、他の入居者とケアの時間をずらすこと、家族に早めに見通しを伝えること、チームワークなどの『工夫』により、看取りを実現させていることがわかった。今後は、「死に対する教育不足」や「看取りへの理解不足」の解消に向けて、地域密着型で看取りが可能であることを知る研修の機会を、専門職や事業所に加え、家族や地域住民を対象として設けることが重要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、当初の計画通り事業所を対象とした研修を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、看取りの実践の意向はあるものの実践にいたっていない事業所を対象に、サポート体制を整え、共同して看取りを実践しようと考えていたが、平成27年4月現在、そのような対象となる事業所がない。 そのため、平成26年度の研究実績の概要で述べたように、「死に対する教育不足」や「看取りへの理解不足」の解消に向けて、地域密着型で看取りが可能であることを知る研修を、専門職や事業所に加え、家族や地域住民を対象として設けることを計画に加えることとした。
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次年度使用額が生じた理由 |
一昨年度の研究の遅れを取り戻し、ほぼ順調に推移しているものの、成果発表までにはいたらなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、国際学会で成果発表を行うことが決定しており、ポスター作成や旅費にあてる。
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