研究課題/領域番号 |
25463555
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
三重野 英子 大分大学, 医学部, 教授 (60209723)
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研究分担者 |
井上 亮 大分大学, 医学部, 教授 (10325714)
末弘 理惠 大分大学, 医学部, 教授 (30336284)
濱口 和之 大分大学, 医学部, 教授 (60180931)
吉岩 あおい 大分大学, 医学部, 講師 (70363570)
井上 加奈子 大分大学, 医学部, 助教 (80634360) [辞退]
森 万純 大分大学, 医学部, 助教 (60533099)
甲斐 和歌子 大分大学, 医学部, 助教 (10761562) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 薬物療法 / 看護師 / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、認知症高齢者の薬物療法を適切に援助できる看護師の育成をめざし、服薬支援の実際と学習課題に照らした教育プログラムの開発を行うことにある。2016年度は、介護家族、薬剤師、医師を対象に郵送法による無記名式質問紙調査を実施し、多角的に看護師が行う服薬支援の実際と学習課題を検討した。 介護家族の調査は、認知症の人と家族の会X県支部会員の介護家族161人を対象に2016年6月に行い、111人(68.9%)より回答を得た。処方薬数が1~4種類は47人(42.3%)、5種類以上の多剤併用は54人(48.6%)であり、多剤併用の場合、「医師に本人の状態を言葉で伝えることが難しい」「気軽に相談できる医師がいない」「薬によって認知症症状の悪化や身体症状が現れた」という介護経験をもつ割合が有意に高かった。 薬剤師の調査は、X県内の病院勤務の薬剤師[病院薬剤師]117人および在宅対応可能な薬局の管理薬剤師[在宅薬剤師]269人を対象に、2016年6月~7月に行った。回収数は、病院薬剤師89人(76.1%)、在宅薬剤師140人(52.0%)であった。看護師と協働実施していると回答した割合が高かった服薬支援は、病院薬剤師では「処方変更時、薬の効果・副作用を予測した注意深い観察」「医師に処方変更を相談」等、在宅薬剤師では「残薬の確認・調整」「調剤・服用方法の変更・調整・提案」「認知症高齢者の症状・状態や全体像に関する情報交換」等であった。 医師の調査は、X県内の認知症サポート医および認知症相談医411人を対象に、2016年6月~7月に行い、158人(38.4%)より回答を得た。医師からみた看護師が行う服薬支援として実施率が低い項目は、「薬剤性老年症候群の出現把握と情報共有」「非薬物療法としてのケア方法の提案・実施」「介護職に向けた薬剤と生活上の観察点の説明」であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究は、看護師が行っている認知症高齢者の薬物療法について、看護師(病院、訪問看護ステーション、介護保険施設)、医師、薬剤師(病棟で薬剤業務を行う薬剤師、在宅対応可能な薬局の管理薬剤師)、認知症高齢者の介護家族を対象に質問紙調査を行い、多角的に援助の実際と学習ニーズを明らかにし、その結果を土台に教育プログラムの作成・実施・検証をすすめる計画であった。2016年度7月までに調査をすべて終え、それぞれの調査の分析とまとめに取り組んだが、全部で7対象の調査分析に時間を要した。 次の研究段階である教育プログラムの検証研究に向けては、研究計画書を立案し所属機関において倫理審査を受け承認された。しかし、教育プログラムの企画内容の吟味と具体的な実施に向けた日程等の準備・調整に時間を要し、年度内に教育プログラムの実施・検証を行うには至らなかった。そのため、補助事業期間の延長を申請し、2017年度に教育プログラムの実施・検証を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終段階の研究である看護師教育プログラムの検証を行う。先に行った看護師(病院、訪問看護ステーション、介護保険施設)、医師、薬剤師(病棟で薬剤業務を行う薬剤師、在宅対応可能な薬局の管理薬剤師)、認知症高齢者の介護家族を対象とした認知症高齢者の薬物療法の援助に関する調査研究の結果にもとづき、看護師が認知症高齢者の薬物モニタリング、服薬管理・指導、多職種連携等を適切に実施するための教育プログラムを組み立て、研修会として企画・実施し、その効果を検討する。 研究対象は、認知症高齢者に直接かかわり看護を実践している看護師とし、先の質問紙調査において協力を得た病院、訪問看護ステーション、介護保険施設の長を通じて研修参加を募る。研修会の講師役は、研究代表者・分担者および認知症高齢者の薬物療法に関する経験豊かな外部講師が務め、研修のねらいと方法を十分に打ち合わせた上で研修をすすめる。教育プログラムの効果検証については、研修会の開始時と終了後、学習評価や看護実践上の課題等について自記式質問紙調査を実施し、受講前後での知識の理解や看護実践への影響を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、本研究の最終段階の研究である看護師教育プログラムの検証を行う予定であったが、前段階の質問紙調査研究の実施・分析・まとめに時間を要し、実施することができなかった。そのため、補助事業期間の延長を申請し、次年度において看護師教育プログラム検証研究を行うこととした。その研究に必要な経費を次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
看護師教育プログラムの検証研究にかかる研究経費として、当初計画での予算配分にもとづき、研修講師の旅費や謝金、研修資料の印刷・製本費用、受講者を対象とする調査にかかる郵送費等に使用する。
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