研究課題
本研究の目的は、認知症高齢者の薬物療法を適切に援助できる看護師の育成をめざし、看護師が行う服薬支援の実際と学習課題に照らした教育プログラムの開発を行うことにある。2017年度は、まず、前年度に実施した〔介護家族〕〔薬剤師〕〔医師〕〔看護師(一般病院、訪問看護ステーション、介護施設〕を対象にした調査研究の結果を総括し、優先度の高い学習ニーズを分析・抽出した。その結果、一般病院、訪問看護ステーション、介護施設で服薬支援を行う看護師に共通する学習ニーズは、薬物動態と薬力学の加齢変化、多剤併用が高齢者にもたらす問題点と対策、認知症に関する医学的知識、認知症高齢者の服薬管理能力のアセスメント方法であることが明らかになった。次いで、教育プログラムの内容および効果測定にむけた質問紙調査の内容を検討し、集合教育型の研修会を企画・実施した。研修会は、「認知症高齢者の服薬援助の課題」「臨床薬理学入門(高齢者の薬物動態、薬物有害事象、薬剤師との連携等)」「認知症高齢者の薬物療法(薬物療法の原則、多剤併用の弊害、抗認知症薬やBPSD治療薬の処方等)」について、研究代表者、薬剤師、医師を講師とする一日研修とした。参加者は、76名で、一般看護師63名、訪問看護ステーション看護師7名、介護施設看護師6名であった。研修終了後に行った無記名式質問紙調査の結果、理解が深まった内容として高い割合を示した項目は、「多剤併用が高齢者にもたらす問題点と対策」「高齢者一般の服薬管理能力のアセスメントと服薬管理支援方法」「認知症に関する医学的知識」であった。また、看護実践に活用できると回答した割合が高かった項目は、「転倒やせん妄のリスク因子として、薬の影響を考慮してアセスメントをする」「抗精神病薬、抗うつ薬、睡眠薬、漢方薬の処方内容を意識的に確認する」「抗認知症薬の処方内容を意識的に確認する」であった。
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