本研究の研究者らは、「病院における退院支援のシステム整備(以下、システム整備)」に関して研究を重ねてきた。効果的・効率的なシステム整備のためには、病院長などの病院の幹部職と、退院支援看護師(DPN)などシステム整備の実行役である中心メンバーの両者が、病院内外の退院支援に関する現状を的確かつタイムリーに把握し、病院の特徴を踏まえ、病院のスタッフが退院支援における各役割を自覚し確実に遂行できるしくみをつくる必要があることが示唆された。そこで、退院支援に関する病院の状況を網羅して把握することができるよう「病院の退院支援システム整備に関するアセスメントシート(以下、アセスメントシート)」を開発した。 平成28年度は、システム整備が途上の急性期病院1施設において、システム整備を中心メンバーとして行っているDPN4名と共に、アセスメントシートを用いて退院支援に関する病院の状況について分析を行い、アセスメントシートの有用性を検討した。 アセスメントシートを用いて分析を行った結果、研究協力病院の退院支援に関する状況について把握でき、退院支援部門に所属する多職種間の連携や、退院支援部門のスタッフと病棟看護師や医師等との連携などについて課題を特定することができたため、アセスメントシートの有用性が確認された。また、アセスメントシートの説明文が分かり難かった項目や回答が難しかった項目についてDPNから意見をもらい、該当箇所を修正して改定版を作成した。 本研究で有用性が検討され、さらに改良したアセスメントシートを他の病院の幹部職あるいは中心メンバーが用いることで、病院のシステム整備の現状や問題を的確に把握でき、効果的・効率的にシステムを整備・改善することに寄与できると考える。
|