研究課題/領域番号 |
25463564
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 石川県立看護大学 |
研究代表者 |
彦 聖美 石川県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80531912)
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研究分担者 |
大木 秀一 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (00303404)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 男性介護者 / 家族介護者 / 高齢期 / 地域別 |
研究概要 |
国民生活基礎調査によると、男性介護者の割合は平成22年に3割を超え、その支援は急務である。男性介護者を支援する場合には、被介護者との関係(夫介護者と息子介護者の違い)、家族類型、文化・社会・経済学的な要因による地域差などの様々な要因を加味した戦略を検討すべきである。 本研究の目的は、高齢期の妻や親を介護する男性介護者の実態を地域別に比較分析し、男性介護者の特徴とこれに基づいた支援の方向性を明らかにすることである。都道府県のホームページで公表されているすべての地域包括支援センターと居宅介護支援事業所に所属する介護支援専門員を対象に、郵送法自記式質問紙調査を実施する。質問項目は、男性介護者の状況(1.年齢、2.職業の有無、3.続柄、4.世帯状況、5.介護期間、6.通院状況、7.男性介護者のニーズとして聞いている事)、被介護者の状況(1.年齢、2.性別、3.介護度、4.障害高齢者の日常生活自立度、5.主病名、6.介護保険サービスの利用状況)である。 平成25年度は、富山県と福井県の調査を実施し、これまで実施した石川県での調査結果を併せて、北陸地方(石川県・富山県・福井県)の男性介護者の特徴と地域の特徴に基づいた支援の方向性の分析、および沖縄県に対する調査を実施した。北陸地方における男性介護者の割合は、12~13%、沖縄県の男性介護者の割合は約12%であった。北陸地方は、高齢化率、後期高齢化率、三世代同居率が全国を上回り、在宅介護を受ける高齢者は、三世代中心の家族形態の中で妻や嫁に介護されており、男性介護者の割合は全国調査に比して低い地域であると考えられた。 次年度以降は引き続き、47都道府県のクラスタ分析をベースに多段抽出法により、8クラスタからそれぞれ1都道府県に対する調査を実施し、地域別の男性介護者の特徴とこれに基づいた支援の方向性を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地域の特性などの情報収集と文献検討に関して、必要項目の確認および対象地域の選択に時間をかけたため、質問紙調査の実施開始時期が遅れた。現在、47都道府県のクラスタ分析をベースに多段抽出法により、8クラスタからそれぞれ1都道府県に対する調査を順次進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、予定の都道府県に対する調査を実施し、高齢期の妻や親を介護する男性介護者の実態を把握し、地域差に着目して分析を行う。対象都道府県の関連機関等の担当者に対する聞き取り調査も含めて地域診断を行い、男性介護者の割合の違い、夫や息子といった続柄別の割合の違い、介護者と被介護者の健康状態等を地域別に把握し、地域の文化・社会・経済学的要因や介護者と被介護者の健康を加味した地域別の特徴を分析する。 今後はさらに、地域の特性に応じたきめ細かな男性介護者支援プログラムの開発に向け、男性介護者の特徴およびその支援に関する分析を深める必要がある。そのため、さらに広範な文献データベース、書籍情報、諸外国の家族介護者支援、男性介護者支援に関する網羅的な情報収集を行い、基礎資料としてまとめていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
地域の特性などの情報収集と文献検討に関して、必要項目の確認および対象地域の選択に時間をかけた。そのため、8クラスタ別の都道府県に対する郵送法自記式質問紙調査の実施開始時期が遅れ、予定の調査が年度内に完了せず、次年度使用額が生じた。 8クラスタ別の都道府県に対する郵送法自記式質問紙調査の実施費用、および対象都道府県の関連機関および担当者に対する地域診断・聞き取り調査のための経費、報告書の作成と郵送経費を予定している。さらに、男性介護者支援プログラムの開発に向け、諸外国を含めた広範な文献データベース、書籍情報、聞き取り調査による網羅的な情報収集のための経費と旅費を予定している。
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