研究課題/領域番号 |
25463574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛県立医療技術大学 |
研究代表者 |
西田 佳世 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 准教授 (60325412)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高齢者看護 / 認知症 |
研究概要 |
高齢者施設における認知症高齢者ケアの中で、力を注いでいると同時に困難を抱えていることが転倒予防である。特に、認知症高齢者の転倒は、BPSDが原因であることが多いい。そこで、本研究では、種々のBPSDに関連がある移動(歩行)機能をコントロール指標に設定し、ケア提供者とともに介護保険施設入所中の認知症高齢者への継続的なフットケア介入を行い、施設でのBPSDの改善に有効な認知症高齢者ケアのエビデンスを構築することを目的としている。また、本研究では、施設スタッフが無理なく継続的に実施できるケアであり、利用者に変化をもたらしたケアのエビデンスをケアチームで共有できることを目指している。そのため、25~26年度はその拠点作りと施設スタッフが何とかしたいと考えているケアのニーズが高いBPSDの内容の抽出を行った。 本研究の実施予定施設の責任者とのミーティングを複数回行いながら、ケア方針、職員の勤務体制、人員構成、入所高齢者状況から、具体的な介入方法を検討中である。また、BPSDが関係するであろう転倒理由としては、昼夜逆転、夜間の不穏、寝不足による姿勢保持不良があったため、本研究では、まず、これらを整えたあと、体を支えられる足づくりの介入を実施することとし、現在、その実施計画も作成中である。また、施設スタッフの負担を最小限にし、スムーズなケア展開および評価のためのフレームワーク作りも進めている。睡眠パターンの変調の改善に関しては、26,27年度にケア介入を実施し、続けてフットケア介入を施設スタッフ中心に展開し、BPSDの状況の変化を評価していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、介護保険施設入所中の認知症高齢者のBPSDの実態把握および直接的にケアを提供している施設スタッフのBPSDに対するケアの現状とその中で困難に感じているケアの抽出を25~26年度に実施することを予定しており、本研究のケアプログラム作成のための基礎調査と実施拠点作りを目的としていた。 実施拠点として協力が得られる施設の利用者およびスタッフの環境を整えた上でケアプログラムに基づいた介入を開始する必要があるが、現在、その調整中であり、まだ、実施拠点が決定できていない。 また、フットケア介入による評価を実施するにあたり、転倒の原因になることが予測されるBPSDの状況を研究者らの直接観察結果および施設スタッフからの聞き取り内容を検討した結果、これらのBPSDの状況には昼夜逆転、夜間の不穏、寝不足による姿勢保持不良が多かった。そこで、まず、その状況の改善を図ったうえで、フットケア介入により、自分の体を支えることができる足づくりを行い、フットケア介入によるBPSDの改善を評価することが必要であると考え、その準備を進めている。さらに、現在、施設スタッフが何とかしたいと考えているケアのニーズが高いBPSDの内容の抽出に取り組んでいる最中であり、その点が当初の計画より多少遅れ気味ではあるが、当初より、25~26年度は、本研究の実施拠点作りを目的としていたため大幅な遅れがあるほどではないためことから達成度は少し遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
25年度に引き続き、BPSDに関連がある移動(歩行)機能の内容の抽出と施設スタッフのケアニーズの抽出を行い、それをもとに、ケア介入プログラムを作成する。また、昼夜逆転、夜間の不穏等、睡眠障害に伴う影響の改善を行い、認知症高齢者の睡眠環境を整えるケア介入を追加して実施し、その後、26年度後半または27年度からフットケア介入プログラムに基づく介入を開始できるように準備をすすめる。拠点とする協力施設の業務の流れにも合わせ、施設スタッフや関連領域の研究者らとのミーティングを十分行いながら施設スタッフが負担を感じることが少なく客観的評価が可能なケア計画の立案をすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
実施拠点として協力が得られる施設の利用者およびスタッフの環境を整えた上でケアプログラムに基づいた介入を開始する必要があるが、施設責任者や中心となるスタッフの異動が生じ、現在、その調整中のため、実施拠点が確定しておらず、25年度準備予定の内容を26年度に延期することにした。また、本研究の介入前に睡眠状況の改善を行うことを加えることとしたため。 25年度に計画していた認知症高齢者の日中および夜間の活動量と睡眠パターンの把握、および移動(歩行)機能の把握、介入後の心身への影響を把握するための事前評価を行うため、活動量計、脳波計、足趾間圧力および立位バランス測定のための機器購入を行う。さらに、今年度、計画の追加を行った睡眠障害に伴う影響の改善の実施・分析を実施するための機器購入を拠点施設および協力予定者の状況に応じて実施する。具体的には、認知症高齢者は自らの意思で屋外に移動することが困難であり、個別ケアにも限界があることから、3~4名を抽出し、午前中に光療法を取り入れ、睡眠障害への介入を行い、睡眠不足によるBPSDを改善した状態で本研究をスタートできるよう環境を整えていく予定である。
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