前年度までの成果から早期にケアへの取り組みができるようになった。しかし、ケアへの取り組み開始後、それ以降の情報共有は継続できたが、看護師・介護士間でケア評価を行う機会は減少し、個々の利用者の観察結果のアセスメントをもとにケアに繋ぎケア内容を評価し、今後に繋ぐ過程において円滑に展開する力を育むまでには至らなかった。 その原因について、対象者のケアに関与している看護師4名、介護士4名に協力を依頼し、約20分の面接調査を行った。看護師・介護士ともに、以前と比較し、利用者の課題把握ができるようになり利用者の変化は捉えていたが、他のケアにも時間を要す、優先するケアがある、観察からケアまでを一貫して行う意識の変化、評価方法(時期、項目)が不明確、ケア方法に迷うことが、有効なケアに繋がるエビデンスを見いだせない要因として抽出できた。そこで、1~2週ごとのケア会議を通し、ケア実践中の利用者の介入前の状態と比較するデータ(評価表を用いた結果や測定値、写真データ)を用い職種間の情報共有と評価の機会を設定し、教育的な介入を実施した。4週間の継続介入の結果、足趾間圧力や立位バランス機能の変化はなかったが、足趾のトラブル(陥入爪など足爪のトラブル)の出現や転倒はなく、何らかの足趾のケアの実践があった。BPSD症状は、うつ、夜間行動が有意に改善、異常行動は悪化傾向であったが介護負担感には改善があった。ケアに繋ぐ情報となった観察場面は、起床・就寝時の更衣時、排泄動作時が多く、履物・靴下の改善や下肢浮腫改善のケア、爪切りを実施し、その変化は評価として捉えていた。移動動作に必要な足の観察は、看護師・介護士が日常生活の援助として、1日のうちに負担なく容易に何度も観察する機会があることから、足の観察に注目し、何らかのケアを始めることは転倒予防だけでなく、出現しているBPSDにも影響する可能性を示唆できた。
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