本研究の目的は、高齢者の家族介護者の能力を高める「介護者のエンハンスメント・プログラム」の長期的な効果を明らかにすることである。これまでに開発した3つの介護領域である「心配事の解消」「食事の介護」「暮らしのリズムを整える」に加えて「最期の意思を支える」を開発した。それとともに、プログラム終了時の「最期の意思を支える」受講後のアンケート、「最期の意思を支える」の介護領域を開催する看護師向けのファシリテーター養成プログラムを開発し、参加者用テキストとファシリテーター用テキストを冊子体にした。さらに、プログラム受講前と受講後に家族介護者が自身の介護疲れや自己の状態をみるために、Zarit介護負担尺度日本語版の短縮版(J-ZBI_8)、GSES(一般性セルフエフィカシー尺度)を記載した調査用紙を作成した。 看護職を対象としたファシリテーター養成研修および家族介護者への介護領域の実施について、研究協力を15施設に依頼し、ファシリテーター養成プログラムの実施についての研究協力は2施設、家族介護者への介護領域の実施についての研究協力は1施設のみだった。 その結果、8名の看護職を対象として4つの介護領域のファシリテーター養成プログラムを、高知県、東京都の合計2病院において実施した。また、研究者が兵庫県内の老人保健施設で「食事の介護」「暮らしのリズムを整える」の介護領域を家族介護者4名に対して実施し、介護領域受講後の内容に関するアンケート、Zarit介護負担尺度日本語版の短縮版(J-ZBI_8)、GSES(一般性セルフエフィカシー尺度)の調査を実施した。 さらに、家族介護者が高齢者を看取った経験について、老人看護専門看護師の体験をまとめ「家族の終生期に対峙して」のリレーエッセーを企画し日本看護協会出版会発刊雑誌のコミュニティケアに12回連載した。
|