研究課題/領域番号 |
25463579
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
藤野 裕子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (00259673)
|
研究分担者 |
藤本 裕二 佐賀大学, 医学部, 助教 (30535753)
楠葉 洋子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90315193)
稗圃 砂千子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (40585733)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 精神障害者 / リカバリー / セルフマネジメント / 楽観性 / 地域 / 離島 |
研究概要 |
本研究は,地域で暮らす精神障害者のリカバリーに影響する楽観的な捉え方の特徴を明らかにすることを目的とした。 平成24年~25年度内の基礎調査で108名の回答を得,本研究に同意した50名に面接調査を行った。参加者の所属は,就労継続支援B型26.0%,病院デイケア48.0%,地域活動支援センター16.0%,生活介護事業所(多機能型)6.0%,グループホーム4.0%であった。男性52.0%,家族と同居44.0%,一人暮らし36.0%,グループホーム20.0%,既婚者が少なく10%,就労者40.0%であった。統合失調症者66.0%で最も多く,発症年齢25.7(範囲0~55)歳,入院経験4.7(範囲1~30)回,地域生活期間8年1ヵ月間(範囲3ヵ月~30年2ヵ月)であった。 リカバリーレベル〔Recovery Assessment Scale(RAS:24項目5件法)〕平均点(SD)は85.1(16.3)点 範囲50~120点,リカバリーステージ〔Self-Identified Stage of Recovery (SISR-A:5項目から1つ選択)〕は,準備期38.0%,気づき期22.0%,再構築期20.0%,成長期16.0%,モラトリアム期4.0%であった。楽観性(楽観主義尺度10項目5件法)の平均点(SD)31.0(6.7)点 範囲11~50点であった。楽観主義尺度について平均値・中央値から高低群に分けた結果,面接者50名の内訳は,(A)RAS高群・楽観高群21名,(B)RAS高群・楽観低群6名,(C)RAS低群・楽観高群9名,(D)RAS低群・楽観低群14名で,出現率に有意差があった(χ2検定 p<0.01)。今後は,楽観的でリカバリーレベルが高いAタイプから分析を始めると共に4タイプの数が揃うように対象者の目的的選択を行っていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本調査は,フィールドの確保として機縁法を用い,平成25年度は研究代表者が所属する長崎県の保健師職と協働して,長崎県の特性である島嶼部3ヵ所の調査のうち2ヵ所のフィールドでスムーズに実施することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は引き続きデータ収集を中心に実施する。長崎県内の異なる島嶼部のフィールドの調査を実施すると共に,これまで調査した九州北部県を越えた県の調査を実施する。既に鹿児島県内3ヵ所のフィールドから承諾を得ており,8月に実施予定である。平成25年度内に得たデータのうち,有益なデータを確認し,楽観性の類型別人数を計算し,その上で不足している類型の対象者に絞りインタビューを行う。 インタビュー調査と同時並行で,データの分析(逐語録作成,データの要約,全てを熟読後概念とカテゴリー検討)について,共同研究者間で定期的に会議を開催する。途中でスーパーバイズを受ける。 平成26年度中に国内学会で1題発表予定,来年発表用の国外学会に1題エントリー予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,研究者が所属する長崎県内の離島を中心に調査を実施したが,予定した3ヵ所のフィールドのうち1ヵ所の離島(壱岐)の調査がスケジュール上できなかったため,その旅費を次年度に回すことにしたため。 次年度は,長崎県の壱岐島と鹿児島県内の調査フィールド,合計4ヵ所で調査を実施する。1ヵ所の調査において3日~1週間程度の所要日数と一日の調査で複数の共同研究者が必要なことから,その旅費に充当する予定である。また,基礎調査の回収予定数(約100人)のデータ入力とインタビューテープのリライターの人件費にあてる予定である。
|