研究課題/領域番号 |
25463579
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研究機関 | 沖縄県立看護大学 |
研究代表者 |
藤野 裕子 沖縄県立看護大学, 看護学部, 教授 (00259673)
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研究分担者 |
藤本 裕二 佐賀大学, 医学部, 講師 (30535753)
楠葉 洋子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90315193)
稗圃 砂千子 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (40585733) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 精神障害者 / リカバリー / セルフマネジメント / 楽観性 / 地域 / 就労訓練 |
研究実績の概要 |
本研究は,地域で暮らす精神障害者のリカバリーに影響する楽観的な捉え方の特徴を明らかにすることを目的とした。 平成26年度1年間の基礎調査(アンケート)では69名から回答を得た。本研究には,33名が同意し,そのうち22名から回復過程における楽観的なセルフマネジメントに関する質的記述データを得ることができた。 参加者の所属は,就労継続支援A型事業所13名,就労移行支援事業所2名,自立訓練事業所7名であった。九州管内において,精神障害者の就労継続支援A型事業所は非常に少なく,今回初めて調査することができた。平均年齢35.8(範囲20~52)歳,男性59.1%,家族と同居54.5%,一人暮らし40.9%,就労者59.1%,統合失調症59.1%,次いでうつ病13.6%,発症年齢23.2(範囲13~40)歳,地域生活期間8年1ヵ月(範囲1ヵ月~21年)で,昨年度の対象者の基本的属性と大差はなかった。 リカバリーレベル(RAS)の平均値(SD)は83.5(11.0)点,中央値80点,範囲61.0~109.0点で,楽観性尺度の平均値(SD)は29.3(7.8)点,中央値31点,範囲15~49点であった。両尺度の中央値で,以下の4群に類型した。〔A群:リカバリーレベルが高く楽観的〕が8人(36%),〔B群:リカバリーレベルが高く悲観的〕は0人で,〔C群:リカバリーレベルが低く楽観的〕が7人(32%),〔D群:リカバリーレベルが低く悲観的〕が7人(32%)であった。 全体の質的記述データから,【親からの自立】【就労】【保護的環境】【仲間との出会い】【楽観性】の5つの概念がリカバリーに影響する要因として見いだされた。特に,【楽観性】に含まれる「困難について考えない」という表現が多く見られ,“前向き”でなく,“気楽さ”の楽観的な捉え方がリカバリーに関連することが推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本調査は,フィールドの確保として機縁法を用いているが,平成26年度はフィールドを拡大することができた。特に,対象者の住む地域と所属が広がった。これまでの九州北部から南部の県に住む対象者及び就労継続支援A型事業所,就労移行支援事業所,自立訓練事業所の対象者に調査することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度中に,代表研究者が長崎県から沖縄県に所属が異動し,どちらも島嶼を持つ県であることから,島嶼部に住む精神障害者に対する調査を進める。既に,長崎県の壱岐島の市町村保健師に仲介を依頼済みで,壱岐島に住む精神障害者を対象に,平成27年度8月に調査を実施する予定である。 今年度前半は,M-GTAによる分析法を用い,概念及びカテゴリーを抽出を推める。併せて,リカバリーレベルと楽観性の4群別に,概念の相違・特徴を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
壱岐島の調査日程を平成27年度に計画したため
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次年度使用額の使用計画 |
壱岐島の調査日程は調整済みで,平成27年度8月に実施する計画を立てた。
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