研究協力施設の泌尿器科病棟において,前立腺生検(5人),経尿道的膀胱腫瘍切除術(6人),経尿道的前立腺切除術(5人)計15人の高齢者を対象として,手術確定時と入院初日に平成27年に作成したパンフレットを用いて手術オリエンテーションと入院から退院までの苦痛に関連する言動,それに対する看護師の判断と対応,対応後の苦痛の変化を観察・記録した.前立腺生検,経尿道的膀胱腫瘍切除術,経尿道的前立腺切除術を受けた高齢者の苦痛表現は計74件で,いずれの手術および検査でも手術終了後から翌朝までの間の苦痛の表現が,全入院期間中のうちの4-9割を占めた.苦痛の訴えは6-21時の間に約8割表出された. 予定手術を受けた高齢者は,パンフレットを用いた説明を行うことで,どのような手術を受けるか,それに伴いどの時期どのような症状が出るのかという心構えができ,症状出現時にはすぐに看護師に伝え早期に苦痛を緩和することつながったと考える.
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