少子高齢化が進む中、認知症への対応が問題になっている。研究者はこれまでにグループ回想法の認知症高齢者への対人交流面の効果、実施者へのバーンアウト軽減効果、グループ回想法実践能力尺度開発について研究報告しており、グループ回想法の認知症高齢者および実施者への効果に期待している。 本研究の目的は、グループ回想法にいきいき参加している様子をとらえながら客観的に認知症高齢者を効果評価できる「グループ回想法いきいき感尺度」を開発し、高齢者のいきいき感を最大限引き出す実施者の実践内容を構造化することである。 本研究では、グループ回想法実施場面をビデオ録画しその動画データを用いて観察調査を行った。具体的には認知症高齢者の回想法参加状況について表情、言語表現、動作などを中心にした言動を観察調査し、「グループ回想法いきいき感尺度」を開発した。その尺度の信頼性および妥当性については、録画した動画データを再度使用して、観察調査を行うことで検証した。さらには開発した尺度を用いて把握された参加高齢者のいきいき感が引き出された回想法実施場面を抽出し、その場面における実施者の実践内容について、声かけ、高齢者の障害への対処などについて観察した。 【必要時サポートを受け、状況を踏まえた会話力を発揮する】【人とともに生き、社会性を発揮する】【会に感情豊かに参加し、人間力を発揮する】の3カテゴリ、28項目の尺度が開発され、信頼性、妥当性が確認されたが、現場で活用しやすいよう工夫する必要があると考えられる。また、グループ回想法の実施者における認知症高齢者のいきいき感を引き出す実践内容としては、認知症高齢者ケアにつなげること、高齢者の思いや持てる力を活かすこと、実施環境の調整をすることが明らかとなった。 本研究の成果については岐阜医療科学大学紀要に投稿した。
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