文献検討を実施し質問紙を作成した。糖尿病患者の自己管理行動に対する幅広い要因を測定するために、慢性疾患患者の社会資源を測定する尺度であるChronic illness resource surveyの日本語版を作成し、信頼性・妥当性について検討した。Chronic illness resource surveyの原作者から許可を得て、順翻訳・翻訳案の確認・逆翻訳を実施した。逆翻訳の内容については、原作者に原版との概念同一性について確認した。 糖尿病の診断を受けている30歳から75歳までの患者を対象として、質問紙調査を実施した。2つの医療施設(大学病院、クリニック)の外来に通院する患者102名に協力を得た。質問内容としては、①基本属性、②疾患に関する項目、③日本語版Chronic illness resource survey、④自己効力感、⑤セルフケア行動、⑥ソーシャルサポートなどについて尋ねた。日本語版Chronic illness resource surveyの信頼性については、内的整合性、再テスト信頼性により検討した。妥当性については、日本語版Chronic illness resource surveyと自己効力感、セルフケア行動、ソーシャルサポートの関連性により検討した。 分析の結果、内的整合性、再テスト信頼性は概ね先行研究と同等の値であった。また妥当性については、日本語版Chronic illness resource surveyの合計スコアは、自己効力感、セルフケア行動、ソーシャルサポートと正の関連を示していた。これらより、日本語版Chronic illness resource surveyの信頼性・妥当性が確認された。 今回の調査の成果発表では、学会発表では日本糖尿病学会での発表、また論文では英文での投稿を予定している。
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