本研究は、平成25年度を研究初年度とし、東日本大震災の被災地における難病患者の地域生活支援について統合医療の観点から検討し、在宅難病患者のQOLを高めるための地域ケアシステムのあり方について探ることを目的とした。平成25年度は、在宅難病患者支援および関連施策の現状と課題等について情報収集、文献調査・検討、平成26年度は、在宅難病患者の地域生活支援システムの検討のため、海外における先進事例の調査・検討を実施した。平成27年度は、在宅難病患者の地域生活支援システムの検討のために、在宅難病患者の支援に関する情報収集、文献調査・検討を継続した。とくに、筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者におけるコミュニケーションの問題と、在宅難病患者の就労困難性についてテーマを絞り、検討を重ねた。コミュニケーションの検討からは、在宅生活を営む難病患者が社会の一員としての存在意義を見出せるような支援のあり方を重視すること、就労困難性の検討からは、合理的配慮に基づく就労支援の重要性とケアマネジメントの視点に立った体系的な支援、企業との協働による就労支援システムの構築が課題であることが見出された。また、自治体が主催する難病患者の地域生活支援システム検討のための協議会に分担研究者が参画し、地域生活支援における課題の整理、支援者間のネットワーク形成等、協働の基盤形成に資する活動を実施した。平成28年度は研究最終年度であったが、研究代表者、分担研究者とも異動となり研究体制を十分に整えることができなかった。そのため、平成28・29年度はこれまでの研究成果を整理しまとめるに留まった。
|