研究課題/領域番号 |
25463618
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
京田 薫 金沢大学, 保健学系, 助教 (00639776)
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研究分担者 |
塚崎 恵子 金沢大学, 保健学系, 教授 (20240236)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自然災害 / 地域高齢者 / 防災健康教育 / 避難行動要支援者 / 教育効果 / 避難行動に対する認識 / 防災意識 / 防災行動 |
研究実績の概要 |
本研究は、地域の高齢者72人に防災健康教育を実施した。最初に自立した高齢者を対象とし避難行動の認識に影響を及ぼす要因を検討し、次に65歳以上の要支援者を含む者の防災健康教育の効果の検討を行った。 自立した62人の高齢者の防災意識と防災行動を調査して、避難行動の認識に影響する要因を検討した。自分が災害にあう危険性があると思った者は約6割、内服薬又はお薬手帳を常備していた者は約4割、非常用食品を備蓄した者は約6割、発災時の家族との連絡方法を考えていた者は約7割、近隣から支援を受けられる者は約7割だった。避難指示の発令時に自宅に居たいと認識した者は約3割おり、この認識には災害情報の収集方法が影響していた。自宅に居たいと認識した者のうち災害情報の収集方法を考えていない者には、避難生活を行うための備えが不十分で、防災意識が低い者が多いことが示唆された。 65歳以上の要支援者を含む高齢者63人に個別の防災健康教育を実施した。災害時の支援の必要性の認識および防災意識と防災行動を調査して、支援の必要性に影響する要因を明らかにした。63人中、災害時に支援が必要であると認識していた者は約6割であり、飲食料の備蓄、居住年数、避難時間のイメージが影響していた。55人の防災健康教育後の変化を分析した結果、支援が必要であると認識した者は8割以上であり、内服薬・お薬手帳の常備、自分が災害に遭う危険性、近隣からの支援の有無の割合も変化した。支援の必要性には身体機能以外の要因も影響し、個別教育により防災知識を増やすことで支援の必要性の認識と防災意識および防災行動も変わることが示唆された。 在宅医療職の防災ネットワークづくりを開催し31人が参加した。防災健康教育は全地域住民に必要であり、個人に対しての意識づけの方法は個人の特性にあったものでないと効果は低く、このことを専門職が意識していくことを再認識した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度は地域に住んでいる高齢者を対象として災害時の備えの実態について聞き取り調査を行い、その後防災健康教育を実施した。防災健康教育の効果も検討しており、順調にすすんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
地域に住んでいるほぼ自立した高齢者の発災時の避難行動に対する認識や防災意識および防災行動と防災健康教育の効果を検討してきた。平成28年度は、在宅療養者と介護家族者を対象として防災健康教育を行い、その効果を検討していく予定である。自立した高齢者に対する健康教育の効果と在宅療養者と介護家族に対する健康教育の効果の類似点や違いを比較することで、在宅療養者の介護家族に対しての個別性を配慮した防災健康教育の有り方を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度とH28年度にそれぞれ健康レベルの異なる対象に介入研究を行う計画に変更した。H27年度は、地域に住む健康レベルの高い高齢者を対象として介入研究を行い効果を分析した。その知見を基に、H28年度は在宅療養者と介護家族を対象として介入研究を行い、効果を分析する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
H28年度は、在宅療養者と介護家族を対象とし、個別に家庭訪問をして聞き取り調査を行う予定である。また対象者の自宅で個別に防災健康教育を行う計画である。よって、助成金は、対象者宅までの交通費、調査用紙等の作成の費用、介入するための防災健康教育の媒体作成の費用、介入後の質問紙の返送による郵送料、調査委員の謝金に使用する計画である。
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