研究課題/領域番号 |
25463624
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 天理医療大学 |
研究代表者 |
尾ノ井 美由紀 天理医療大学, 医療学部, 准教授 (70324788)
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研究分担者 |
早川 和生 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70142594)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高機能発達障害児 / 早期発見 / 発見指標 |
研究概要 |
平成25年3月から5月に高機能の発達障害児を乳児期に発見するために、発達障害児の療育支援に携わる臨床心理士を含む心理相談員3名と保育士4名に半構造的インタビューを行った(平均年齢:56.14(±11.53)才、療育支援の平均経験年数:33.29(±8.68)年)。データは録音後逐語録に明文化し、共同研究者間のセッションによって1次コードを作成後、対象者に内容を確認してもらいデータの信頼性と妥当性に努めた。 結果、心理相談員と保育士からそれぞれ31と42の1次コードが抽出され、気になる子どもの特徴として、両者に共通して「感覚の異常」や「身体面の発達」および「障害の特徴」と「人との関り」が抽出された。心理相談員では「感覚異常」や「睡眠の異常」「身体面の発達」などの感覚統合の未熟さが半数を占め、心理相談員にのみ「胎児期の影響」や「社会性の発達」および「きめ細かな指導の必要性」が抽出された。保育士では、「身体面の発達」や「発達の順序や時期」などの発達の異常が3分の1を占め、保育士にのみ「好きな遊び」や「児が動物へ転化する」などのコードが抽出された。母の特徴としては心理相談員と保育士からそれぞれ20と14の1次コードが抽出され、両者に共通して「遺伝的な素因」と「障害の受容」のコードが抽出され、心理相談員にのみ「親の社会との接点」と保育士にのみ「母の情報」が抽出された。先行研究で立証されている「感覚の異常」や「睡眠の異常」および「発達の順序や時期」などの感覚統合の未熟さ、「独特のルールによる対人関係」や「人との関りの違い」などの発達障害の特徴が今回の調査でも立証された。そして、母の「遺伝的な素因」による対人面の弱さが親子関係や社会への繋がりにも影響していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は発達障害児の状態像アセスメントシートを始め、IEP法に基づいた発達障害児保護者支援実施計画に着手し、発達障害児の早期発見ツールの作成を行う予定であった。発達障害児の早期発見ツール作成については、平成25年度に高機能発達障害児の早期発見のためにインタビュー調査を行い、協同研究者と連携してアセスメント指標の抽出を行ったが、プレテストの段階において実施協力予定であった協同研究者が私事都合により協力できなくなったことから、予定していたフィールドの組織体制の変化によりプレテストができず、他フィールドを開拓中である。また、発達障害児保護者支援実施計画においては、協同研究者の退職に伴い新研究協同者より1年間実施延期の申し出があり、平成26年度実施予定である。 よって、本研究の達成状況は現時点においてやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は平成25年度実施予定であったプレテストの実施により、発達障害児発見ツールを完成する。また、発達障害児保護者支援実施計画においては、新研究協同者との連携により保護者支援を実施し、実施後のモニタリングによって保護者支援の改良に着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に実施予定であった発達障害児の早期発見のアセスメント指標の抽出まで行ったが、プレテストの段階において実施できなくなったこと。発達障害児保護者支援実施が1年間実施延期になったことによって、プレテストに伴う研究打ち合わせ会議の開催や保護者へのWeb活用によるコンピューターの購入などが遅延しているため、それに係る費用が執行できず翌年以降になった。よって、次年度に前期物品購入や打ち合わせ旅費などの使用額を更新した。 平成26年度は発達障害児早期発見指標のプレテスト予定であり、それに伴う新フィールドとの調整会議や、保護者支援に伴うコンピューターの購入などを行う予定である。
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