研究課題/領域番号 |
25463629
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小林 敏生 広島大学, 医歯薬保健学研究院(保), 教授 (20251069)
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研究分担者 |
影山 隆之 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (90204346)
久保 陽子 (安井陽子) 産業医科大学, 産業保健学部, 助教 (90412668)
高瀬 美由紀 安田女子大学, 看護学部, 教授 (50437521)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 男性労働者 / ソーシャル・キャピタル / ワークライフバランス / 健康管理 |
研究実績の概要 |
労働者のワークライフバランス(WLB)の重要性が指摘される中で,特に男性労働者においては,会社や家庭との繋がりだけでなく,地域との繋がりが健康の保持増進において重要であると指摘されており,労働者に対する家庭や地域との繋がりを重視したトータルな健康管理やケアの提供の重要性が増している.本研究では,男性労働者に焦点を当てて,労働環境に加えて家庭や地域などの社会環境にも注目して,ストレスとメンタルヘルスケアの観点から健康やウェルビーイングに与える影響を明らかにするとともに,関連する要因を抽出することでより効果的な健康支援に結びつけることを目的とする. 今年度は,昨年度に男性労働者の主観的健康感,個人,職場,地域のソーシャル・キャピタル(SC)およびWLBに関連した半構成面接調査で得られた結果について学会発表を行うとともに,定期健康診断時に主観的健康感や生活習慣,職場SCなどについて,自記式質問紙による調査を実施した.得られた男性労働者559名のデータのうち,欠損データを含む18名を除外し541名を分析対象とし,対象者の主観的健康感を健康群,不健康群の2群に分類して,ロジスティック回帰分析を用いて関連要因の検討を行った.主観的健康感については健康群438名,不健康群103名であった.ロジスティック回帰分析の結果,主観的健康感は職場SC,仕事以外の悩みの有無と関連を認め,健康群の職場SCのオッズ比は1.17,仕事以外の悩み無しのオッズ比は2.38で有意に高かったことから,男性労働者の主観的健康感には労働環境や職場以外のストレスが関連することが明らかとなった.職場の労働環境の整備に加えて,家族の問題も含む仕事以外の悩みに対する介入も,男性労働者の主観的健康感を向上させる重要な因子であることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度中に予定していた,結果のまとめと発表については,質問紙調査の実施が遅れたために,結果の集計,学会での発表,論文執筆が遅れている.また質的インタビュー調査については今年度の調整が困難で未実施となっているため.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に実施した質的インタビュー対象者以外の労働者15名程度を選定し,再度半構造化面接調査を実施し質的エビデンスを高める.今年度に得られた質問紙調査の結果と統合して解析することで,男性労働者の健康保持増進,特に主観的健康感やメンタルヘルスに影響を与える,職域から家庭,さらに地域に繋がるSC,およびWLBについて明確化し,働き盛りの男性労働者への具体的な健康支援の提言へ繋げる.また,本研究で得られた結果について,次年度以降の学術集会にて発表すると共に,学術誌への論文投稿を行うことで研究成果を発信する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度中に予定していた,結果のまとめと発表については,質問紙調査の実施が遅れたために,結果の集計,学会での発表,論文執筆が遅れている.また質的インタビュー調査については今年度の調整が困難で未実施となっており,次年度に実施の予定となったために,計上経費に余剰が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
インタビュー調査の実施のための旅費,および得られた結果の国内外での学会発表旅費,および論文執筆,報告書の作成費用とする.
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