研究課題/領域番号 |
25463632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
香川 里美 香川大学, 医学部, 助教 (30558507)
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研究分担者 |
名越 民江 香川大学, 医学部, 教授 (50208063)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 長期入院患者 / 退院支援 / 評価スケール / 精神疾患患者 |
研究概要 |
1.文献検討 「精神」「長期入院」「退院」をキーワードに、過去5年間(2008~2013年)における先行研究の文献を医学中央雑誌およびCiNiiにて検索した。ヒットした件数295件のうち、長期入院精神疾患患者の退院支援に関する研究論文(原著論文)38件を対象に、精神科長期入院患者の特徴と退院支援に効果的な介入方法と内容、退院支援のプロセスを整理した。退院支援内容についての類似性をカテゴリー化し、退院支援の評価に必要な要素を抽出した。退院支援を開始する時期から退院に至るまでのプロセスは、「情報収集・捉え直し・社会生活力アセスメントの時期」「患者と家族に対する動機づけの時期」「他職種連携での患者・家族の意志決定支援の時期」「社会適応能力支援の時期」の4個の構成概念で構成された。 2.質問項目の作成と使用方法 退院支援に関連する既存スケールを参考に、退院支援評価要素を研究者間で検討した結果、構成概念4個、下位尺度概念18個を抽出し、質問項目リスト原案129項目を作成した。退院支援評価スケールを用いての評価に適切な時期、使用目的、使用方法についての検討を行った。評価に適切な時期は、退院支援開始時、他職種との連携時期、退院先決定時、退院後の4つの時期とした。使用目的は、院内の退院支援に携わる医療者が各時期における退院支援の自己評価を行い、患者・家族が不安なく退院に臨めるとともに、退院生活の継続に必要とされる支援内容を明確にすることとした。使用方法は、退院支援の中心となるプライマリーナース、ケースワーカー、作業療法士を対象とし、評価に適切な時期に自己評価を行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に計画していた文献検討及び評価スケール原案の作成は、おおむね順調に進めることができた。また、研究対象として計画している数施設のうち1施設に対しては、看護部長に研究の趣旨、目的、研究計画内容について説明するとともに調査協力の依頼を行い、内諾を得ることができた。現在、次年度にむけての聞き取り調査に対する準備が整いつつある状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、平成25年度に作成した退院支援評価スケールの目的および使用方法の検討および内容妥当性を検討するため、質問項目を退院支援に携わっている医療者に使用してもらい、使用しての問題や意見等について聞き取り調査を実施する予定である。実際に臨床現場で退院支援に携わっている医療者(看護師、ケースワーカー、保健師、作業療法士)8~10名に退院支援評価スケール原案を使用してもらい、評価スケールの項目の構成、内容について、各項目が退院支援の評価項目として適切であるか、不明瞭な表現や評価しにくさがないか等についての聞き取り調査を実施する。対象施設は、精神病床があり社会復帰に取り組んでいる数施設を計画しており、夏頃までに、数施設の研究協力の内諾が得られるよう、研究協力の依頼を行い、当大学の倫理委員会の許可を得て調査を開始する予定である。退院支援評価スケールで評価する際の対象患者は、成功事例と不成功事例において評価してもらう。また、対象者は、長年精神科で退院支援に携わっている医療者と新人を交えることとする。聞き取り調査の内容は、同意を得て録音し、逐語録を作成し、内容分析を行うとともに、評価スケールの内容妥当性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度に計画していた印刷に必要なプリンタートナー等の消耗品の購入を次年度に延期したため、その分の研究費(10000円)を平成26年度に繰り越した。 直接経費410,000円、間接経費120,000円、直接経費使用計画内訳・物品費:文献、書籍、消耗品等約70,000円、/・旅費:約80,000円、/・謝金:データ入力等の研究補助者および研究協力者への謝礼(または謝品)費130,000/・その他:テープ起こし費等130,000円
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