平成28年度は、退院支援評価スケール試作版「DSS-LPP試作版」52項目を用いて実施した質問紙調査結果の集計および分析を行った。有効回答を得られた485名の性別は、女性300名(61.9%)、男性185名(38.1%)であった。52項目の重要度・自己評価の結果から項目分析を行った後、探索的因子分析を行った結果、5因子33項目が抽出された。第1因子は、退院後、利用できるサービス活用ができているか、患者・家族が地域生活に負担を感じていないか、服薬の継続の確認等に関する7項目で構成されており、「退院後の生活適応への支援」と命名した。第2因子は、患者との信頼関係構築、退院への意欲の向上、服薬指導等の10項目で構成されており、「社会適応能力再獲得への支援」と命名した。第3因子は、患者の病状を退院可能性の観点から再度アセスメントする、服薬継続の予測、退院支援に協力可能な支援者の情報収集等の6項目で構成されており、「社会適応能力アセスメント」と命名した。第4因子は、患者と家族との目標・課題共有への調整、家族の負担軽減への情報提供等の5項目で構成されており、「患者と家族の関係調整」と命名した。第5因子は、居住予定地域への外出支援、退院後の日常生活のシミュレーション等の5項目で構成されており、「退院後の生活のシミュレーションと調整」と命名した。Cronbach'sα係数は.957で内的一貫性が確認された。基準妥当性は外的基準であるDCP-PEMの得点との間で有意な相関が確認され、退院支援成功経験の有無による比較から弁別力が確認された。DSS-LPPは信頼性と妥当性が確認され、精神科長期入院患者の退院支援に関わる保健医療従事者を対象とした退院支援評価尺度として活用できる。
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