研究実績の概要 |
高齢者虐待発生メカニズムの解明と虐待予防保健ワーカーアクションプログラムの検討を目的に、高齢者虐待防止の業務に従事している保健ワーカーに自記式質問調査を実施した。分析対象者は207人(男性62人,女性145人)であった。職種は社会福祉士が128人(62%)、看護職が56人(27%)であった。高齢者虐待発生のメカニズムは、高齢者の障害の悪化や介護者への依存の度合いが深まると、介護者のストレスを高め虐待発生につながっていた。保健ワーカーが、過去1年以内に虐待事例の支援を行ったは150人(72.5%)であり、転帰では、支援によって虐待がなくなった事例は25.6%にすぎなかった。保健ワーカーの約半数が高齢者や養護者から支援拒否や不愉快な行為、暴力等を受けたことがあると回答していた。解決策は、上司や同僚への相談であった。保健ワーカーの半数以上が疲れる、憂うつであると回答していた。保健ワーカーアクションプログラムは、虐待の予防、発生時のアクションに対する専門性を高める教育と保健ワーカー自身を暴力などからまもる対策の検討、心身の健康維持に対する支援であった。
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