研究課題/領域番号 |
25463639
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
田口 理恵 共立女子大学, 看護学部, 教授 (90301126)
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研究分担者 |
河原 智江 横浜創英大学, 看護学部, 教授 (10438145)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 壮年期 / 健診受診行動 / 保健信念 / 尺度 |
研究概要 |
【目的】壮年期層の生活習慣病健診受診率向上に向けて、健診受診に関する保健信念尺度の開発を行うことを目的とした。 【方法】 1)「暫定版尺度」の作成:平成24年度に実施したWeb調査データを用いて、暫定版尺度の検討を行なった。解析対象は2,809名の30~59歳の男女である。Health Belief Modelを枠組みとするインタビュー調査から抽出した保健信念35項目について、その該当の程度を6段階で尋ねた。回答の分布、項目間相関、G-P分析、I-T分析、基準関連妥当性、因子分析、ならびに研究者と保健活動実践者との検討により、46項目からなる暫定版尺度を作成した。 2)「修正版尺度」の検討:Web調査会社の30~69歳の男女登録モニターから平成24年度調査対象者を除外した上で、全国から9,930名を無作為抽出し、調査案内を電子メール配信し、回答期間内に回答した1,648名を分析対象とした。調査項目は、1)で作成した暫定版尺度に加え、基本属性、生活習慣と基準関連妥当性を検討するための健診受診状況であった。得られたデータの通過率、分布、項目間相関、G-P分析、I-T分析、基準関連妥当性を検討し、因子分析を行い、修正版尺度を作成した。さらに、修正版尺度の健診受診行動への寄与について、多変量解析にて分析した。 【結果と考察】「修正版尺度」は、4つの下位尺度(健康を失う可能性の自覚、健康を失う重大性の自覚、健診受診の利益の自覚、健診受診の障害の自覚)からなり、各下位尺度7項目、全28項目からなる。尺度全体のクロンバックのα係数は0.84、下位尺度は0.85~0.92である。過去1年間の健診受診の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析では、健診受診の利益の自覚、健診受診の障害の自覚が、これまでの健診受診頻度を従属変数とした重回帰分析では、健診受診の利益の自覚、健診受診の障害の自覚、健康を失う可能性の自覚が、年齢や主観的健康感とともに、独立した決定要因となることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに壮年期住民へのin-depthインタビューの質的分析と、これに基づくアンケート調査を実施し、保健信念と健診受診行動の関連性について十分な検討を行ってきており、本アンケートデータを尺度開発の手順に従って十分に吟味した上で、「暫定版尺度」を作成したことから、極めて信頼性の高い「修正版尺度」開発につながったと考えられる。また、「修正版尺度」の作成に向け、Web調査(全国調査)を実施することにより、郵送法等による住民調査等では十分な回収率が得られない壮年期層から予定通りのデータ回収数を収集することが可能となったことは、本科研費の効果的な利用成果と言える。また、Web調査により、全国データの回収が可能となり、調査対象の代表性の担保にもつながっている。以上のように、平成25年度は予定通り、「修正版尺度」である健診受診行動に関する保健信念尺度の開発が完了しており、次年度以降の調査等に活用できる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
現在2自治体において研究協力依頼を行い、健診受診行動に関する保健信念尺度を活用した、住民の健診受診促進策開発に向けた調査等の実施に向けて、具体的な打ち合わせを進めているところである。平成26年度は、住民の健診受診行動に関する保健信念、基本属性、社会経済的状況等に関する調査を実施し、介入ターゲットの同定を行う。また、各自治体の健診実施状況等に関わる課題を整理するとともに、各自治体の実態に応じた健診受診促進策について検討を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
アンケート調査をWeb調査で実施したため、OA用紙等の消耗品購入額が抑えられたため。 次年度は住民調査を計画しているため、OA用紙等の消耗品購入に使用する予定である。
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