研究課題/領域番号 |
25463642
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
柳澤 理子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (30310618)
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研究分担者 |
橋本 秀実 三重県立看護大学, 看護学部, 講師 (50515781)
坂本 真理子 愛知医科大学, 看護学部, 教授 (70285237)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | タイ / CSHCN / 障害児 / 慢性疾患 / 養育者 / unmet needs / 国際研究者交流 |
研究概要 |
本研究の目的は、タイ農村部におけるChildren with Special Health Care Needs(CSHCN)の養育者のunmet needsを明らかにすることである。タイ東北部Mahasarakham県において、CSHCNの養育者を対象に半構成的面接法による調査を実施した。対象者は、18歳以下のCSHCNの養育者15名であった。インタビューはICレコーダーに録音し、タイ語で逐語録を作成、これを英語に翻訳して分析した。 調査対象者は、母親7名、父親2名、祖母6名であった。調査地域は夫婦揃って出稼ぎに行く家庭が多かったため祖母を対象に含めた。年齢は平均46.3歳(20-72歳)であった。対象児は男児7名、女児8名、年齢は1歳8か月~18歳であった。児の主要疾患は、HIV感染5、先天性疾患4、脳血管疾患1、注意欠陥障害1、事故後後遺症1、てんかん1、喘息1、精神疾患1であり、発達の遅れがある者が4名いた。 養育者のunmet needsには5分野が見出された。<Health and medical needs>では、CSHCNの基礎疾患や障害に対応できる専門医を求める"Referral to specialist"や、養育者自身の"Psychological support"、仏教やアニミズムに依拠する"Traditional medicines"等が挙げられた。<Welfare needs>では、"financial support"や児のケアのために養育者自身のニーズが満たされない"Care burden"等が、<Education needs>では、"General Education"(統合教育)、"Special Education"(特別教育)の両方のニーズが語られた。<Social needs>では、差別などを含む"Ethical needs"等が、また<Information needs>は、先の4分野にまたがるカテゴリであった。このようなテーマの研究は、タイ看護界では初めてである。今後はこの成果をもとに、質問紙調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は、CSHCNの養育者に対するインタビューを実施し、それを元に質問紙を検討する予定であった。CSHCNの養育者へのインタビューは予定通り終了し、その分析もほぼ完了している。質問紙は、まだ完成していないが、必要なCSHCN Screenerについては、作成者であるアメリカ連邦母子保健局の許可を既に取り付け、タイ語に翻訳する作業を完了した。他の部分についても、現在検討中である。したがって概ね計画どおり進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、当初の予定通り、質問紙調査を実施する予定である。本年度10月までに、タイの共同研究者と連携して調査内容を検討し、英語で質問紙を作成する。それをタイ語に翻訳、さらに英語への逆翻訳を経て、平成27年2-3月に調査を実施する予定である。 平成25年度に実施したインタビュー調査の結果は、平成26~27年度にかけて、国内外の学会、研究会で公表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
直接経費1,100,000円の内、165,898円が次年度使用額となったが、これは主として、研究分担者の分担金の残額による。予定では、研究分担者も渡航し、タイの共同研究者と分析内容について協議する予定であったが、それぞれの大学内業務のため、本年度は渡航を見合わせた。このため、研究分担者の分担金の一部を物品に振り当てたが、渡航費と同等の支出にはいたらず、残額が発生した。また、研究代表者のタイ渡航は3月であり、旅費等の精算が3月末に至ったため、その後の残額使用ができなかった。 次年度使用額のうち、研究代表者については、残額は23,066円と小額であり、調査準備のための物品費として使用予定である。 研究分担者については、次年度タイへの渡航や学会発表を計画しており、平成26年度研究費と併せて旅費および調査のための必要物品の購入に充てる予定である。また、研究代表者の残額は小額であり、必要物品の購入に充てる予定である。
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