研究課題/領域番号 |
25463651
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
岩清水 伴美 順天堂大学, 保健看護学部, 准教授 (60516748)
|
研究分担者 |
鈴木 みちえ 順天堂大学, 保健看護学部, 教授 (50300166)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 乳幼児虐待 / 市区町村保健師 / 多職種連携 |
研究実績の概要 |
児童虐待が増加する中、児童虐待の具体的な援助のために必要な保健師の技術としては、養育者と関係を作る受容的態度や必要な援助の見極め(発見・タイミング)、関係機関との連携(上野、1997)等が必要とされ、保健師自らもネットワークが虐待対応の鍵であると考えている。しかし、死亡事例検証の結果等から、妊娠期から支援が必要な妊婦への多機関による関与、養育者の成育歴・家族関係を考慮したアセスメントと支援、リスク情報を客観的に認識するための組織体制、医療機関との積極的な連携が課題として挙がっている(厚生労働省、2012)。本研究は、市区町村保健師を対象として、子ども虐待ハイリスク家庭支援を行うためのIPW(多職種連携)の実態とIPW(多職種連携)を促進する要因を明らかにし、IPW(多職種連携)モデルを構築することを目的に実施した。 2年目の今年度は、子ども虐待ハイリスク家庭支援のIPW(多職種連携)実態調査の分析と子ども虐待ハイリスク家庭支援のIPW(多職種連携)の現状調査(マインドマップを活用した調査)の準備を行った。 市区町村の乳幼児虐待ハイリスク家庭支援の現状は以下の通りであった。虐待・虐待ハイリスク支援ケースの管理は、台帳管理実施は252(50.8%)であり、ハイリスクケースの進行管理実施は280(56.5%)、母子保健進行管理会議【事例検討と進行管理実施会議】は216(43.5%)であった。事例検討の実施は、関係者の連携も具体的な検討になり連携を推進していくものと考られ、半数の市区町村が実施していた。若手保健師のサポートについても、訪問や面接後に報告させ助言の実施は60.5%、事例検討の随時開催は50.6%と困難事例の検討を実施している。連携を推進する体制整備が半数の市区町村で撮られていることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、第2段階として「子ども虐待ハイリスク家庭支援のIPW(多職種連携)実態調査の分析と子ども虐待ハイリスク家庭支援のIPW(多職種連携)が効果的に行われた事例の面接調査」を実施する予定であった。1次調査は全国調査を実施し、市区町村調査及び若手保健師調査の2種類を実施した。そのため調査結果の整理(市区町村と保健師調査の欠損などの把握)に時間がかかった。現在、市区町村の調査結果がまとまり、今後若手保健師調査の分析を実施する。 現在倫理委員会申請中の2次調査が承認されれば、速やかに調査に入る予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、第3段階として「子ども虐待ハイリスク家庭支援のIPW(多職種連携)モデルの構築」を図ることが主である。そのために以下2点、1)第1次調査と第2次調査の分析と検討し、「子ども虐待ハイリスク家庭支援のIPW(多職種連携)モデル」構築をする。2)市区町村保健師の子ども虐待ハイリスク家庭支援のIPW(多職種連携)のあり方を提言 を実施する予定である。 現在は、1次調査の分析・まとめを行いつつ、第2調査の倫理審査申請中である。2次調査の倫理審査承認後に速やかに調査(マインドマップの活用)を実施する予定である。今年度後半は、1次調査及び2次調査の結果を統合し「市区町村保健師の子ども虐待ハイリスク家庭支援のIPW(多職種連携)のあり方」を導きたいと考える。 今年度の成果発表は、8月の国際家族看護学会(デンマーク)と1月の日本公衆衛生看護学会(東京)の学会で行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施予定であった2次調査(マインドマップを活用した質的研究)が、現在倫理審査申請中であり実施ができなかった。そのためのデータのテープ起こし、研究協力者への謝礼など予定の支出ができなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究協力者の募集の依頼通知の切手代及び事務用品、研究協力者への謝礼、データのテープ起こし等に使用予定である。
|