研究課題/領域番号 |
25463653
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
毛受 矩子 四天王寺大学, 教育学部, 教授 (60342193)
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研究分担者 |
前川 厚子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20314023)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高齢妊娠 / 妊娠期 / フィンランド / ネウボラ / 情報提供 / 切れ目ない支援 / リテラシー |
研究実績の概要 |
「わが国の晩婚、晩産化は歯止めが効かない現状にあり、初産婦の平均年齢は30・3歳を示している。合計特殊出生率は平成24年1・41から平成25年1.43に上昇してはいるものの出生の実数は昨年度より2万9000人減少し過去最低の100万1千人となった。このような背景から国は「妊娠期から切れ目ない子育て支援」として支援のあり方を積極的に探りつつある。そのひとつに日本版ネウボラの取り組みがある。ネウボラとはフィンランド語で「アドバイスできる場所」として、妊娠期から一貫した安心・安全な相談ができる場所・顔が見える情報提供の場としての取り組みである。「高齢妊娠を含めた妊娠期からの切れ目のない支援とそのヘルスリテラシー構築」の遂行のために今年度は以下の5事業の取り組みを行った。①海外現地調査:平成26年6月9日~15日(7日間)、研究員3名とフィンランドにおける現地調査を実施。保健師によるネウボラの取り組みに関する具体的な活動について施設訪問し、生の声のインタヴューを行った。②講演会開催、演題「フィンランドから学ぶ子育て支援」:平成26年12月12日午後、フィンランド大使館員によるネウボラの取り組みの状況を聞く講演会を開催し、関西の保健行政参加者に情報提供をした。 ③シンポジウム開催、演題「大阪から切れ目ない妊娠・出産・子育て支援を進める」:平成27年2月7日夕方、「妊娠期から切れ目ない支援」としてフィンランド大使館員と大阪府下の先進的取り組みをしている3市長を囲んでのシンポジウムを開催し、大阪府下保健行政への情報提供を実施した。④日本版ネウボラの取り組みの現地調査:名張市の取り組みの現地調査を実施。⑤高齢妊娠を含む大阪府下7市町村の妊婦教室受講者へのニーズ調査実施:平成27年1月~7月実施。目標は500名で現在実施中。 以上
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外現地調査:昨年度より現地調査にむけて情報収集と現地との調整準備を行ってきた。平成26年6月に7日間でフィンランドネウボラ現地視察が実施できた事は大きな成果であった。成果内容は①フィンランドでも高齢妊娠が増加傾向にあるが、全ての妊婦対象にネウボラでは保健師が小規模対象を担当し、妊娠期から就学前までを相談できる切れ目ない支援が実施されていた。記録は転出先に継続支援情報として繋げ、また記録は50年間保存し切れ目ない継続的支援のあり方が把握できた。妊娠期に国を支える人権として祝福し「育児パッケージ」がプレゼントされ、出生後には保育所を希望すれば全乳児を預からなくてはいけない社会システムとして位置づけもされ、母親は安心して仕事、子育の両立ができていた。また、子育ては男女協働作業として遂行されている事が理解できた。②講演会とシンポジウム開催の情報提供:フィンランド現地調査で得られた成果を大阪で発展させる取り組みとして、講演会とシンポジウムを開催し情報提供を行った。対象は保健師や母子保健を担う保健行政職員、妊婦等々である。内容は在日フィンランド大使館の協力を得ながら「妊娠期から切れ目ない支援」として日本版ネウボラ構築に向けた情報提供と大阪の先進的母子保健のり組みを開始している3首長を交えたシンポジウム等が開催できた事は成果であった。参加者からは「妊娠期から切れ目ない支援」としてのネウボラに関心が持てたとの意見をいただいた。③日本版ネウボラを推進している名張市現地調査では人材、場所、予算を総合的に新しい枠組みで見直し、妊娠期から切れ目ない子育て支援活動が把握できた。④現在、その根拠となる市町村妊婦教室参加者へのニーズ調査を遂行中である。大阪府下7市に依頼し、実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度研究計画は以下のとおり、「妊娠期から切れ目ない支援」に向けた情報提供取り組みである。 1.「高齢妊婦・初出産の母親に対する支援とヘルスリテラシー構築のプログラムに関する研究」の全体的枠組みを推進するために「妊娠期から切れ目ない支援」について、大阪を中心とするシステム構築の推進を行う。 ①11月27日(金)、あべのハルカス四天王寺大学サテライトキャンパスで「フィンランド社会保健省国立保健福祉研究所、ネウボラの研究・政策評価の総括担当者(他の研究費で招聘予定)と府下市町村母子保健課長との意見交換会」開催で「妊娠期から切れ目ない支援」の促進力を図る。②11月28日(土)大阪市立総合医療センターさくらホールで「フィンランド社会保健省国立保健福祉研究所、ネウボラの研究・政策評価の総括担当者と府下先進的取り組み市町村とのシンポジウム」開催で原動力を推進する。③12月4日(金)午前、場所未定「フィンランド社会保健省の国立保健福祉研究所、ネウボラの研究・政策評価の総括担当者の講演会」開催で東京を中心として「妊娠期から切れ目ない支援」の浸透と拡大を図る。④12月4日(金)午後、場所未定「フィンランド社会保健省の国立保健福祉研究所、ネウボラの研究・政策評価の総括担当者と関東地域の母子保健先進的取り組みの市町村保健師とのシンポジウム」開催で東京を中心とした「妊娠期から切れ目ない支援」策の具体的推進と原動力を図る。 2.「高齢妊娠の動向とヘルステラシーに関するニーズ調査」を大阪府下7市において調査を継続実施していく。①府下保健行政7市の協力を得て「妊婦(両親)教室の受講者に対する調査を実施中である。目標数約500件で7月末までの期間として現在遂行中。②成果結果の学会発表として日本母性衛生学会、他学会発表を予定する。③高齢妊婦のグループ化としてSkype集団通話を予定し、不安の解消を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度繰越のため
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次年度使用額の使用計画 |
学会出張、計画打ち合わせ会議、高齢妊婦のグループ化、調査費用
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