研究実績の概要 |
晩婚・晩産化は年々増加の一途である。第一子出産の母の平均年齢も年々高くなり平成25年30.4歳となっている。出生数は35年間減少し続けている。高齢妊娠・高齢出産群を含めた妊娠期から切れ目ない子育て支援の構築について、昨年度母子に優しいフィンランド・ネウボラの現地調査をした。今年度はその成果として大阪・東京において保健師を中心とした「日本版ネウボラとしての切れ目ない支援」構築にむけて技術伝承セミナーやフィンランドのネウボラの取り組みを紹介する国際シンポジウムを開催してきた。フィンランド大使館の協力や高橋睦子教授(吉備国際大学)科研事業(フィンランド国立保健福祉研究所THLトゥオヴィ・ハクリネン氏を招聘)の協働で開催した。全国の自治体保健師や行政管理職、医療職の参加者(東京会場122名、大阪会場95名)があり、終了後の感想は93.3%が「関心あり」を示した。フィンランドのネウボラのエッセンスから学び、妊娠期から切れない支援構築推進への一助となったと考える。 一方、大阪府下7市妊婦(両親)教室参加者へのニーズ調査を継続実施した。配布数1303名で回収者は950名(回収率72,9%)を解析した。35歳以上の高齢妊娠の割合は28.8%、不妊治療後妊娠が39.3%、情報収集は88.2%がネット収集であった。しかし信頼できる情報源は医療職45.0%が最も多く、保健師との結びつきは少なかった。医療から地域保健への連携と顔の見える支援が求められている事が推測された。 併せて、Skype利活用により高齢妊婦を対象に妊娠期から子育て期にかけて相談体制づくりを試みた。ダウン児出生の母に早期から心に寄り添ったSkype相談事業と適切な情報提供で、母が積極的子育て姿勢へと早期に転換していけた事は今後の取り組みについて一定の示唆が得られた。今後も事例数を増やしていきたいと考える。
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