研究課題
多胎サークル参加者を対象としたワークショップを全国の5か所で実施した。調査項目は、多胎育児上「困っていること」「助けとなるもの」とし、33名の参加者から「困っていること」は367票、「助けとなるもの」は220票の意見カードを得た。参加者が作成した親和図を研究者で再構成して分析した。「助けとなるもの」の主なものは、多胎サークル内の互助、多胎児の力と家族・近隣の共助が占めていた。「困っていること」は同年齢の複数の子どもの同時の育児故の経済面と身体面・精神面、少数派ゆえの情報の乏しさや環境の未整備・周囲の無理解からの孤立感があった。ワークショップで得られた意見を参考にして、全国の人口3万以上の無作為抽出した500の市区町の母子保健担当課と子育て支援担当課を対象に、行政の支援システムの検討として多胎育児支援の実際とソーシャルキャピタルの取り組みについて郵送式の質問紙調査を実施した。282票の回答(回答率28.2%)を得た。サークルへの支援有が24.1%であった。サークルの発展の目安としての参加者の増減と、人口・多胎出生数・運営主体・スタッフ・周知法・開催のきっかけ・効果・支援内容・ソーシャルキャピタルの取り組み項目・研修や指針の有無・ソーシャルキャピタル状況のとの関連を分析を試みた。以上から、多胎サークルのソーシャルキャピタル形成を目指した多胎サークルと支援システムは、それを支える行政のソーシャルキャピタルの取り組みについて検討の余地が大きいことが示唆された。個別事例のインタビュー調査と当事者への質問紙調査は今後実施し、それらを総合して分析を深めていく。
すべて 2016
すべて 学会発表 (1件)