研究課題/領域番号 |
25463657
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
富永 真己 京都橘大学, 看護学部, 教授 (40419974)
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研究分担者 |
朝倉 隆司 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00183731)
朝倉 京子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00360016)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 病院 / 組織特性 / 看護師 / 職務満足度 / 職業的幸福感 / ソーシャル・キャピタル |
研究実績の概要 |
1.デルファイ法による病院調査:看護師の労働職場環境の背景にある病院の組織特性の測定尺度の開発を目的に、前年度から計3回にわたるデルファイ法による質問票調査を計画し、平成26年度は第3回目を実施した。 2.看護職員対象の質問票調査:1の結果を踏まえ、新たに病院の組織特性の測定尺度として「ソーシャル・キャピタルと倫理指標」の31項目を開発し、組織特性が組織(病院)と労働者(看護師)に及ぼす影響の検証を目的に、質問票調査を実施した。協力が得られたA県内の11病院に勤務する全看護職員(1,114人)を対象に平成27年1月に、無記名の自記式質問票を配付した。924票が回収され(回収率83%)、基本属性4項目に欠損のない917票を分析に用いた。 3.結果:93%が女性、平均年齢は38.73(±10.09)才、既婚が57%、スタッフ看護師が87%、看護に関する最終学歴は3年課程教育機関が79%を占めた。平均勤務年数は7.66(±5.00)年、看護師の平均経験年数は11.47(±8.68)年、週あたりの残業時間は1~4時間が48%を占めた。職務満足度(7~35点、得点が高い程、仕事の満足度が高い)の平均点は20.13(±5.29)、職業的幸福感(6~36点、得点が高い程、職業を通じての幸福感が高い)の平均点は23.02(±6.18)、蓄積疲労度(13~39点、得点が高い程、蓄積疲労度が高い)の平均点は22.39(±5.79)、精神的健康度(6~30点、得点が高い程、精神的健康度が低い)の平均点は10.78(±4.73)点であった。スタッフ看護師(N=794)に関し、組織特性と各変数との相関係数を算出した結果、組織特性の尺度の31項目全てと職務満足度と職業的幸福感は正の、蓄積疲労度と精神的健康度は負の有意な相関関係が認められた。病院の組織特性が看護師と組織に及ぼす影響が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に予定していた質問票調査は、中規模施設5病院の看護師(約1,000人)に対し、質問票調査を実施する計画であったが、11施設の全看護職員(1,114人)を対象に自記式質問票を配付し、回収率も83%と高かった。予定していた変数も調査し、分析も途中段階ではあるが順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は研究の最終年度であることから、平成26年度に収集したデータを用いて、病院の組織特性が個人と組織に及ぼす影響について、さらなる統計解析により検証する。加えて成果物である組織特性のCHECK LIST作成するとともに、施設への聞き取り調査を実施し、組織特性への介入に関する好事例の取り組みを参考に、ACTION PLANを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問票調査の実施の時期が2015年1月から2月末と年度末となり、質問票の回収が年度にまたがることで、入力費用と付随する作業も年度をまたぐこととなり、計画当初は年度内で完了する予定がずれ込んでしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
質問票調査は計画通り実施を完了したため、年度をまたがって発生した作業で生じた費用は平成27年度に執行する。
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