研究課題/領域番号 |
25463659
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研究機関 | 日本赤十字広島看護大学 |
研究代表者 |
山本 加奈子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 講師 (30438080)
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研究分担者 |
三島 伸介 関西医科大学, 医学部, 助教 (70454618) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ラオス / 腸官寄生虫症 / 健康教育 / 学校保健 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、研究2年目として、2回のフィールド調査を行った。主に、対象郡の9つの小学校及び、コントロールとして、プラス3校において、検便により、寄生虫症の感染状況を客観的に把握した。さらに、介入群の小学校での衛生教育への取り組みとその波及効果について、学童および地域の住民にヒアリングを行った。 寄生虫症感染状況については、いずれの学校も、継続的な駆虫薬の内服により、回虫については、かなり効果的に駆虫されている。しかし、鞭虫、鉤虫については、地域により、駆虫率および再感染率に差があり、学校・地域による差がみられる。特に、経皮感染する鉤虫については、駆虫率が悪く、また予防に対する人々の考えも曖昧であるため、今後、詳細を分析しつつ、対策の強化が必要である。 現地では、電気やインフラの整備が、徐々に進んでいるが、水道の普及や、トイレの所有率に比べ、スマートフォンの普及率がめまぐるしく、中高生世代から、SNSの利用が進み、情報の入手経路が想定外の広がりを見せている。よって、これまでのような、コミュニティーベースの健康教育ではなく、IT教材を活用した健康教育など、時代の流れに応じた方法のシフトが必要であると考え、今後、研究の計画の見直しを行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度より、天候不良により調査フィールドへのアクセスの面で、遅れをとっていた。さらに、近年、東南アジアを中心にスマートフォンの普及によるIT化がめまぐるしく、ラオスも例外ではない。調査フィールドは、ラオスの農村地域であるにもかかわらず、スマートフォンの所有率が大幅にふえ、それらがインターネットへのアクセスとともに、SNSを活用した情報の発信・共有の可能性を大きくしている。 本研究テーマは、学校を中心に行われる健康教育が効果的に地域に伝わること、つまりChild to Community の手法を活かしつつ、地域のエンパワーを図ることに主眼をおいていたが、IT技術の進化およびアクセス可能性とともに、その方法の変更が余儀なくされている。今後のさらなるIT技術の普及を見越し、これらを踏まえた調査が必要であるため、研究方法の一部を見直していくことが必要になった。
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今後の研究の推進方策 |
計画段階では、予知できなかったスマートフォンの急速な普及により、データ収集内容の変更は、必要であると考える。また、他研究機関のラオスおよび、東南アジア近郊の研究者にもIt化の傾向やそれにともなう変化なども情報集する。その後、早期に、今後のIT技術の発展・普及可能性を視野にいれ、研究方法を見直していく。 また、上記の理由により研究方法一部変更しながらも、これまでの計画を継続することにより、その社会の変化の流れの中での寄生虫症対策をはじめとする保健行動の変化をあわせて調査をすすめる。また、研究対象が主に農村の地域住民であったが、現地の保健医療従事者にも、現在の社会の動向に合わせた健康教育について、アイデアを頂くべく、ディスカッションの機会を検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費は、計上額より、安く購入する事ができた。 旅費は、調査日程が予定より短くなったため、宿泊費としての旅費が安くなった。 謝金、その他としてのレンタカー代も、旅程の短縮に連動し、安くなった。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画を一部変更する予定でいる。そのため、研究期間を1年間延長することも考え、主に、フィールド調査の予算として、計画的に執行する。
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