医学・医療分野やDTCなどの産業分野において、個人の遺伝子やゲノムの情報の利活用に対する期待が集まっている一方、プライバシーや差別等のELSI(倫理的・法的・社会的課題)に関する研究が遅れていることが明らかになった。 そこで当年度は、主に法的側面に焦点をあて、日本の個人情報保護法やヨーロッパのパーソナルデータ保護法の内容について検討を行った。日本の個人情報保護法は当年度の9月に改正が成立したが、遺伝子・ゲノム情報の取扱いについては、ほとんど議論がないまま、ヨーロッパのデータ保護規則の改正と同様の枠組みに変更されており、特に研究現場への認識の混乱を引き起こしたことが分かった。 これに対し、初年度から活動しているワーキンググループで、現場の状況を調査し、政令事項となっている個人識別符号や要配慮個人情報の遺伝子・ゲノム情報の適用範囲について提言を発表することができた。
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