研究課題/領域番号 |
25500010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
霜田 求 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (90243138)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 先端医療技術 / リスク / 生命倫理 / バイオテクノロジー / コミュニケーション |
研究概要 |
(1)研究・臨床のスタッフにおけるリスク評価およびリスク・コミュニケーション能力向上のための教育プログラム策定…数年来継続中の臨床医工学教育プログラムにおける科目「臨床医工学の倫理問題」を担当し、医学研究及び臨床応用におけるリスクを含む倫理的課題の教育を実施した。事例に即したリスク評価の困難さと道徳的・社会的リスクへの視点、新しい医療技術の臨床研究・試験が抱えている倫理的・社会的諸問題への対処法を組み込み、それらの実践及びその有効性評価のフィードバックを踏まえて、先端医療技術の倫理的・社会的側面に即した教育プログラムの開発に向けて基盤構築を行った。 (2)異分野専門家間相互のリスクをめぐる対話の促進…関連分野専門家(医学・生命科学、法律学、哲学・倫理学、社会学・人類学、科学技術社会論等)の間の対話実践を実施した。具体的には「リスクと複雑性」をテーマとする国際会議(2013年8月、釧路)にて"Moral and Social Risks of the Genetic Testing Business"と題する報告を行い、議論を行った。 (3)道徳的・社会的リスクの哲学・倫理学的検討…先端医療技術をはじめとするテクノロジーが人間社会や人間存在にどのような変容をもたらすのか、とりわけ治療的介入と人間改造あるいはエンハンスメントとの関連について、哲学・倫理学を中心とする人文科学研究者の間での集中的な討議を重ねてきた。その成果として、脳神経科学および再生医療についての倫理問題をそれぞれ論文にまとめて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)研究・臨床のスタッフにおけるリスク評価およびリスク・コミュニケーション能力向上のための教育プログラム策定…プログラムの基盤構築まではできたものの、その課題検証や現場スタッフとの意見交換はまだできていない。 (2)異分野専門家間相互のリスクをめぐる対話の促進…個別的な対話のレベルから、サイエンス・ショップやコンセンサス会議といったシステム化された対話実践に向けた準備作業が未着手である。 (3)道徳的・社会的リスクの哲学・倫理学的検討…哲学・倫理学、人類学といった人文科学研究者の間での集中的な討議を重ね、国内外の関連学会や研究会で議論を積み重ねつつ、社会科学や自然科学研究者も巻き込んだ議論の場を組織化しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
(1)研究・臨床のスタッフにおけるリスク評価およびリスク・コミュニケーション能力向上のための教育プログラム策定…プログラムの基盤を踏まえて、その課題検証や現場スタッフとの意見交換を進める。 (2)異分野専門家間相互のリスクをめぐる対話の促進…個別的な対話のレベルから、サイエンス・ショップやコンセンサス会議といったシステム化された対話実践に向けた準備作業に着手する。 (3)道徳的・社会的リスクの哲学・倫理学的検討…人文科学研究者だけでなく社会科学や自然科学研究者も巻き込んだ議論の場を組織化し、論点を掘り下げる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年8月開催の釧路生命倫理国際会議における海外ゲストの旅費支援金額が当初予定していたより増えたため、平成26年11月開催予定の日本医学哲学・倫理学会国際大会における海外ゲストへの旅費支援を取りやめ、相当金額を前倒しし支払請求するため。 平成25年度は、当初予定より多くの海外ゲストを招へいし、研究課題に関する研究発表および議論が充実したものとなった。 平成26年度は、2014年11月開催予定の日本医学哲学・倫理学会国際大会における海外ゲストの招へい旅費を支出することができなくなったが、学会予算からの支出により予定通り招へいし、シンポジウム講演および意見交換により研究課題を遂行する。
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