研究課題/領域番号 |
25500011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
樫 則章 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40194766)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 歯科医療倫理 / 歯科医療倫理教育 / プロフェッショナリズム / プロフェッショナリズム教育 |
研究概要 |
第32回日本歯科医学教育学会学術大会(北海道大学)にて、「倫理・プロフェッショナリズム教育I─「よき歯科医師になるための20の質問(2013年度版)」─」、「倫理・プロフェッショナリズム教育II─「倫理的検討事例集(2013年度版)」─」、「事例を活用したプロフェッショナリズム教育のTips」、「歯科学生のための倫理・プロフェッショナリズム教育用ツールに関する考察」と題する発表(計4発表)を行った。 「倫理・プロフェッショナリズム教育I─「よき歯科医師になるための20の質問(2013年度版)」─」では、前回の科研費によって作成した「よき歯科医師になるための20の質問(2013年度版)」の作成経緯および成果を、「倫理・プロフェッショナリズム教育II─「倫理的検討事例集(2013年度版)」─」では、同様に前回の科研費によって作成した「倫理的検討事例集(2013年度版)」の作成経緯および成果をそれぞれ発表した。 「事例を活用したプロフェッショナリズム教育のTips」では、連携研究者がすでに実施している事例を用いたプロフェッショナリズム教育について、「歯科学生のための倫理・プロフェッショナリズム教育用ツールに関する考察」では、連携研究者が勤務する大学で作成された360度評価と「よき歯科医師になるための20の質問(2013年度版)」との異動について、それぞれ発表した。 これらの発表および質疑によって明らかになった今後の研究課題は、多くの教育現場で「よき歯科医師になるための20の質問(2013年度版)」および「倫理的検討事例集(2013年度版)」を使用してもらい、可能なかぎりフィードバックを受けた上で、それぞれの問題点、改良点を明らかにする必要があること、また学部教育だけでなく卒後の臨床研修においても有用な倫理的検討事例を作成する必要があること、である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25 年度の研究計画は以下のとおりであった。1.歯科医療現場で生じうる倫理的問題の事例(とくに開業歯科医が直面しうる問題の事例)を集めて分析・検討し、教育用事例としてブラッシュアップすること。2.全国の大学院医学研究科および歯学研究科における研究倫理教育の現状等について調査すること。3.治療のために抜去され、医療廃棄物としていったん保管された歯の教育・研究利用の現状について調査すること。 現状ではこれらのいずれについても実施できていない。理由は、歯科医療倫理教育とプロフェッショナリズム教育の異動を明らかにする必要があったことと、歯科医療倫理教育においてもプロフェッショナリズム教育においても、将来歯科医師となる歯学部学生が医療チームの一員として行動できるように教育する必要があるが、そのためには歯科衛生士についても歯科医療倫理教育およびプロフェッショナリズム教育をする必要があり、そのための基礎的な調査に相当の時間を費やさざるを得なかったことがあげられる。 これらの研究・調査において国際歯科連盟(FDI)の「歯科医療専門職の国際倫理原則」(1997年)、「歯科医師の基本的な責務と権利」(2007年)、「歯科の患者の基本的な権利と責務」(2007年)を本邦で初めて翻訳し、歯科医療教育界に提供することができた。これまで医療専門職の倫理やプロフェッショナリズム、また患者の権利と言えば、歯科においても、とかく世界医師会(WMA)のものが言及されることが多かったが、今後はFDIのものについても触れられることになると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
平成25 年度の研究計画であった、1.歯科医療現場で生じうる倫理的問題の事例(とくに開業歯科医が直面しうる問題の事例)を集めて分析・検討し、教育用事例としてブラッシュアップすること、2.全国の大学院医学研究科および歯学研究科における研究倫理教育の現状等について調査すること、3.治療のために抜去され、医療廃棄物としていったん保管された歯の教育・研究利用の現状について調査すること、をそれぞれ今年度に遅滞なく進めるように努める。 そのため、26年度の研究計画である、歯学研究科において必要な研究倫理教育の内容を連携研究者と暫定的に確定した上で、いわゆる「不正行為」、すなわち実験データの改竄や捏造、他人の論文の剽窃、さらに不適切なオーサーシップ、研究資金の不正使用、ヘルシンキ宣言および国の指針等に関わる教育用検討事例を作成すること、および抜去歯の教育・研究利用について、そのルールに関する提言をまとめることについては、27年度に実施することとする。 なお、国際研究者交流として、香港大学からDr. Michael Burrowを7月に招へいし、欧米に起源を有する医療プロフェッショナリズムをアジア的視点から共同で検討する。またDr. Burrowには第33回日本歯科医学教育学会学術大会でシンポジストとして参加しもらい、わが国における、いわゆる「(歯科)医道」とプロフェッショナリズムの異動についても検討し、今後の歯科医学教育における倫理・プロフェッショナリズム教育のあり方について研究する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度の研究計画を実施することができなかったためである。その理由は、歯科医療倫理教育とプロフェッショナリズム教育の異動を明らかにする必要があったことと、歯科医療倫理教育においてもプロフェッショナリズム教育においても、将来歯科医師となる学生が医療チームの一員として行動できるように教育する必要があるが、そのためには歯科衛生士についても歯科医療倫理教育およびプロフェッショナリズム教育をする必要があり、そのための基礎的な調査に相当の時間を費やさざるを得なかったことがあげられる。こうした理由から調査費用(郵送料)と旅費が余ることとなった。 26年度中に25年度の研究計画をすべて実施するので、調査費用(郵送料)およぼ旅費はすべて使用される。
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