研究課題/領域番号 |
25500013
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
森 芳周 福井工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70367928)
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研究分担者 |
加藤 太喜子 岐阜医療科学大学, 保健科学部, 講師 (10434523)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 埋葬法 / 死胎 / オーストリア / 流産 / 死産 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、オーストリア、ドイツにおける死亡胎児の処分に関する規制の動向の調査を集中的に行った。オーストリア・ドイツともに、埋葬法は各州の管轄であり、オーストリア・ドイツの各州の埋葬法の規定を調査した結果を、論文にまとめた(一部は投稿中)。 このうち、オーストリアについては、まず連邦法である「助産師法(Hebammengesetz)」で、死亡胎児の体重が体重500g以上の場合は「死産(Totgeburt)」、500g未満の場合は「流産(Fehlgeburt)」と定義されている。これはドイツと同様で、母体外生存可能性と関係している。 ドイツでは、戸籍法における流産/死産の区別と、各州の埋葬法において埋葬義務が生じる基準は必ずしも同じであるわけではなかったが、オーストリアでは、助産師法上の区別が、多くの州の埋葬法でも使用されている。死亡胎児の埋葬に関して、オーストリア内の全9州のうち、2州は、死産児は死体と同様の埋葬義務があり、流産児は埋葬権(親の希望によって埋葬が可能)であった。5州は、流産児・死産児の両方ともに埋葬義務を課していた。ただし、発生の時点から体重500gに達するまでの流産児すべてを埋葬義務の下におくことについては、実効性に疑問があるという指摘もあった。この点については、実態を調査する必要がある。なお、残り2州については、流産児・死産児ともに、埋葬についての規定が明文化されていなかった。今後は、スイスなど周辺国の規定を調査し、またドイツ、オーストリアについての実態の解明も行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
諸外国の死亡胎児の処分に関する規制の調査は、対象国を絞ることによってほぼ終了したが、現在もドイツのいくつかの州では埋葬法における死亡胎児の扱いの改正が行われており、そちらの調査も必要になった。このため、研究がやや遅れることになった。ただし、研究の成果としては一層よいものになっている。
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今後の研究の推進方策 |
ドイツ、オーストリアの状況については、研究成果をまとめた。死産・流産後の夫婦のケア(ペリネイタルロスケア)についても、近隣の大学の研究者と情報交換を行った。今度は研究会を開催し、ペリネイタルロスケアとの関連性を探ることや、フランスなど諸外国における死亡胎児の取り扱いについての情報を得ることにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成25年度に計画していたものの未実施であったドイツ・オーストリアの現地調査を、平成26年度に行う予定にしていた。しかし、ドイツ・オーストリアでは現在も埋葬法の改革が行われており、その動向の調査に時間を割いたために、現地調査を先延ばしにした。また、研究会を開催する予定もあったが、発表候補者の検討などに時間がかかり、これも未実施であった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、まず研究会の開催を最優先に考える。研究会の開催によって、平成26年度までに生じた未使用額の多くを使用する予定である。また、研究費に余裕があれば、ドイツなどの現地調査も行いたい。
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