平成27年度は、前年度までに得られた研究成果をもとに、日本と諸外国における死亡胎児の処分の比較、日本における死亡胎児の倫理的に適切な処分のあり方の検討、諸外国の生殖医療法などの改正の動向の調査を行った。具体的な研究内容又は研究成果については、次の(1)~(3)のとおりである。 (1)前年度に学会で発表した、死亡胎児の処分に関する日独の比較について、「ドイツにおける死亡胎児の処分のあり方」として日本医学哲学倫理学会の学会誌に発表した。また、前年度から引き続き、スイスなど他のヨーロッパ諸国の埋葬法を調査した。 (2)日本における現状として、水子供養を古くからおこなっている寺院の現地調査を平成27年12月におこなった。また、福井県内の各自治体の例規集をもとに火葬場に関する条例における死産児の取り扱いを調査した。 (3)死亡胎児の処分については、受精卵・胚の取り扱いとも密接に関連する。これに関しては、スイスの生殖医療法改正の動向の調査を行い、論文として研究成果を発表した。 以上が、平成27年度の研究内容又は研究成果である。本研究の意義・重要性としては、ドイツにおける死亡胎児の埋葬に関する各州法の詳細を日本ではじめて紹介した点である。この点が評価され、「ドイツにおける死亡胎児の処分のあり方」は当該学会の奨励賞受賞作となった。この他に、平成27年12月の高専カフェにおいて、「生まれる前の生命をめぐる倫理」という題で一般市民に向けて研究成果を紹介した。
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