研究課題/領域番号 |
25501006
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
西名 大作 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60208197)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 観光 / 景観 / 評価構造 / 訪日意欲 / 共分散構造分析 / 中国 / 国際情報交換 |
研究概要 |
産業基盤が脆弱化した日本の地方では,新産業として観光業が着目されており,訪日外国人旅行者が選好する観光資源の発掘,整備が喫緊の課題となっている。本研究では日本に関する知識・経験の乏しい中国在住の中国人学生,並びに,一般市民を対象に,選定した広島県の観光景観画像40種を地域の観光資源として呈示し,評価を求める心理実験を実施する。これにより,中国人の観光景観に対する評価構造モデルを構築し,今後の中国人の訪日意欲喚起に資する汎用性のある基礎的資料を得る。さらに,日本に対する知識・経験の有無が観光景観に対する評価や訪日意欲に影響すると予想されることから,観光景観に関する情報提供の前後で同一の心理実験を行った結果の比較により,いかなる情報の提示がいかなる観光景観の評価向上に資するかを把握する。 以上の目的をふまえ,中国人学生については,大連理工大学,並びに,大連民族学院に所属する研究者の協力を得て,両大学の建築系分野の学生94名を被験者とした実験を行った。既に実施している広島在住の日本人学生や中国人留学生による評価結果との比較した結果,自然的景観の嗜好には被験者間の違いがみられないが,伝統的事物を含む景観には違いが認められ,特に中国人留学生が高く評価する傾向を把握した。この結果をふまえ,各被験者グループの評価構造の違いを明らかにするため,訪問希望の有無を頂点とする評価構造モデルを仮定し,共分散構造分析を用いて検討を進めている。また,中国人一般市民についても,比較的年収が高く潜在的な訪日旅行者となり得る一般市民58名を対象として同様な実験を実施し,現在,結果の整理を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に,広島在住の日本人学生,中国人留学生を被験者とした心理的評価実験を実施しており,それらの結果との比較を前提とすることから,実験方法を改めて詳細に検討する必要がなかったこと,実験遂行にあたって被験者の募集をはじめ中国国内の研究者による多大な協力が得られたこと,さらに,広島大学の有する海外共同研究の枠組みにより,大学院生を長期にわたって現地に滞在させることが可能であったことなどから,比較的スムースに研究を進捗できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,中国人一般市民の評価傾向を把握すると共に,現在,検討している日本人学生,中国人留学生,中国人学生と同様の評価構造モデルを構築し,相互比較を行う。これらの結果をふまえ,心理的評価に影響すると予想される日本や広島に関する情報や知識を洗い出し,それらの提供方法について,中国国内の研究者とも検討した上で,新たな実験を行う予定である。
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