研究課題/領域番号 |
25501008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
清水 哲夫 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (40272679)
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研究分担者 |
倉田 陽平 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (50585528)
相 尚寿 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (70624419)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 観光行動分析 / 二次交通 / 位置情報データ |
研究概要 |
本研究は,地域観光地における二次交通体系の整備計画策定に役立つ,携帯GPS等で補足された旅行者の移動軌跡データを活用した観光周遊行動メカニズムの分析手法を提示することを目的とする. 平成25年度から3箇年の研究であり,初年度は研究の基盤を整備した. 始めに,観光行動に対する位置情報ビッグデータの研究の現状をレビューした.従来の調査方法と比べた場合のビッグデータ利用の利点と欠点を概論的に整理した上で,特に移動トリップの出発地・目的地や利用交通機関を抽出する方法についての技術的現状を把握した. 次に,鉄道会社の所有するIC乗車券データを用いて,都市圏スケールで訪日外国人の観光周遊パターンを分析した.地域別に,一箇所に長時間滞在する行動パターンと,比較的短時間の滞在で複数の観光エリアを周遊するという二つの行動パターンが見出されたとともに,路線を入場間違いしやすい駅や,最短経路とは異なる経路をとりがちな区間を明らかにした. 次に,観測頻度の低い位置情報データからその利用経路・交通機関を推定する可能性を基礎的に検討した.具体的には,GPSレシーバーを保有するモニター旅行者に東京都内を移動してもらい,GISのバッファー機能を活用して,5分間の観測時間間隔の位置情報データを多数作成し,バッファー幅による利用交通機関別の経路特定率の相違を分析した.その結果,90%の経路特定のためには,バスは150m,徒歩は100mのバッファー幅が必要であること,鉄道利用の有無は概ね速度データのみから判定できること,を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度は研究基盤の整備が主たる成果と考えており,研究実績概要で述べたとおりに,関連研究の重点的レビュー,位置情報ビッグデータの試行的利用,携帯電話会社等がストックしている携帯GPSビッグデータの活用方法の基礎的検討,といった内容を実施し,概ね当初の計画通りに進捗していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度以降は,具体的な観光地域において,携帯GPSビッグデータや交通情報提供会社の有するビッグデータを活用して,地域内観光行動を詳細に分析するための方法論を開発する予定である.具体的には,時間帯別OD交通量の作成方法,立ち寄り施設数,施設間移動時の交通機関分担率,施設種別ごとの平均滞在時間,利用交通機関別の移動距離などの効率的取得方法を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行上の事情(データ購入に当たっての諸調整の遅れ)により,データ購入と観光地の二次交通実態調査を平成26年度に見送ったために,平成25年度の実使用額が予定使用額を下回っている. 平成26年度に,データ購入と観光地の二次交通実態調査を集中的に実施する計画であり,平成25年度分の剰余額と平成26年度分の当初計画金額を併せて使用する予定である.
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